オーディオと映像の記録 パート10


     

 

 

内容が豊富で、そして、なかなか激しいプーホ・ミーティングだった。来年もまた小野川湖キャンプ場で会いましょう。 

毎年キャンプに行くと、色々なことが起きる。うまくいったり、失敗したり、道具が足らなかったりと、あれこれ発見がある。オーディオも似たようなもので、ああでもない、こうでもない、これはうまくいった、あのやり方はイマイチ、と繰り返している。  

僕は35mmカメラの画角が体にしみついているので、20mmは20mm、28mmのレンズは28mmとして撮影できたらとてもスッキリする。望遠はさほどでもなく、特に広角でそれを強く感じる。そして、連写機能はほとんど必要ないので、うんと軽くて安いフルサイズのデジタルカメラが出れば欲しい。画質については800万画素で充分で、20DもKissDNもすごく良いから、多分イヤになるまで(予想ではあと2年以上)使うつもり。

今夜10時からWOWOWで「モロ・ノ・ブラジル(私はブラジルで暮らしている)」の放送がある。ピエール・バルーの「SARAVAH」も貴重な映像だけど、「モロ・ノ・ブラジル」はもちろん「SARAVAH」を土台にして、何十年も経ってから作られているわけだから、より踏み込んだ内容で、ブラジル音楽のルーツに興味のある方にはおすすめの記録映画だ。

WOWOWをみる事が出来ない場合は、ちょっと高価だけどDVDも売られている。「モロ・ノ・ブラジル」とくれば、中原仁さんおすすめのセウ・ジョルジで、「シティ・オブ・ゴッド」もみたくなるが、この映画をみるとブラジルに行くのは覚悟が必要かななんて思ってしまう。でも、途中で一瞬出てくる「葉っぱと露のモノクロ映像」は実に感動的で、頭に焼き付いて離れない、あのシーンを見て、やっぱりモノクロームっていいよなあと思ってしまった。 2005.9.5

 

 

 

キャンプから戻り、昨日は一日使い物にならなかった。あの大雨の中を時速100kmほどで巡行していたから、疲れたみたいだ。夜になってからやっと、アンプのスイッチを入れ、ガラード+ SAEC C1で何枚かLPをきいた。弦楽器を中心にかけてみたが、すごく良い。大好きなブラームスのチェロソナタ、秋はブラームスの室内楽や晩年のピアノ曲がよく合う。  2005.9.6

僕はLPが好きだから、CDをきけなくても一週間ぐらいは何とかなる。でも、さすがに10日を過ぎると辛い。早く修理から戻ってこないかなあ。
CDがきけるようになったら一番にかけるのは何だろう?    今ききたいのは、ロッシーニのオペラ、それからそれから何かな?

 

 

キャンプであまりに余った食材を使って料理をやっている

今年の6月末から、ずっとマランツ7一号を使っている。使い始めて三週間ほど、電源投入直後、バツッ、バババンという破裂音のようなノイズが出ていたが、ある時期からまったく出なくなり、どうやら安定期に入っているようだ。トーレンスもガラードも快調で、それぞれの良さを十二分に発揮している。

オーディオは不思議だ。40年も50年も前に作られた古い機器からこんなに新しい音がでる。

オーディオベーシック誌第36号が今日から書店に並ぶ。前半にマルチch再生の特集があり、ダウンミックスした4chでやってみようなんていう記事があった。うまく再生すると4chというのはとても魅力的な音場が出現して、かつてアナログの4chを作った人に、StudioK'sでのマルチをきかせたら、感激すること間違いなしだろう。でも、マジメな話、本格的マルチに取り組んでいるオーディオ評論家は極めて少ないし、当然ながらITU-R 遵守でやってる限り雑誌社もショップもわかっていない。

何度も繰り返し書くが、ピュアオーディオのマルチのためだけにリアスピーカーや専用のパワーアンプを導入するのはもったいない。2chオンリーから4ch6chへ発展させるのなら映像も一緒にやった方が楽しめる。となると、センタスピーカーがスクリーンの邪魔をするから、センターの信号はダウンミックスするしかない。そして、フロントとリアの音量は、部屋やソフトに合わせて微妙にバランスをとることが不可欠なので、別のアンプを使ってその都度音量調整をする。これは富田さんが考えた方式で、僕はそれを踏襲しているが、富田さんはハイエンド路線を進んでいるし、僕は割と現実的な路線で、SACDプレーヤーは初代マルチのSCD-XA777ESだし、リアスピーカー用にはソニーのAVアンプ1台でやっている。密度とか情報量で富田マルチを越えることはできないが、僕のマルチは空間の広さが特徴だ。

アナログダウンミックスが可能なプレーヤーやマルチ用のアンプはオーディオベーシック誌を買って読んでもらうとして、それらの機器を使いたい人はそこから始めれば良い。ただ、例えば僕の場合、プリアンプはマランツ7じゃないとダメなのだ。レビンソンのプリとかクライマックスコントロールじゃなければダメという人もいるだろう。そういう人が4chのマルチをやろうとした時にはダウンミックスの装置が必要になるのだが、今のところ純オーディオ用ダウンミックス装置という物は存在しない。

それで、大阪の御田さんがその装置を作ってくれていて、それはVer.3になり、その都度戯れる会で試聴をしてきている。御田さんはもうすでに部品代だけで10万円ぐらい使っているだろうし、考える手間、作る手間、起きた問題を解決する手間ときたら、膨大すぎて金に換算など出来ない。みんなそのあたりはわかっているんだろうね、と時々確認などしてみたくなる。

本当に僕はロッシーニのオペラ「セビリアの理髪師」が大好きで、だけどCDしか持っていないし、CDプレーヤーはないし、というわけで、オークションを見ていたらLPが出ていて、たまたまあと一時間というところだったのでさっさと落札した

そのレコードが今朝届き、フランシスコ・アライザはちゃんと歌ってるんだろうね、なんて思いながらを楽しんでいると、修理を終えたCDプレーヤーも届いた

ううむ

 

修理の上がったSACDプレーヤーは「光学デバイスブロックを全交換」ということだった。まだ通電して一時間も経っていないので断定する気はないが、CDをきいてみる限りでは少々太い音になっているようだ。以前はもう少し細身で、良く言えば透明感があった(ありすぎだったかも)。だから、現状の方が尖った感じがせず、まろやかで良いとも言える。まあ、二日三日通電しないことには何とも言えない。きこうと思っていたロッシーニはLPできいてしまったから、ヴェルディにした。ヴェルディのオペラで好きなのは何かというと「オテロ」で、オテロは何と言っても男声の二重唱だ。それから、すごく久しぶりに山下達郎の「ON THE STREET CORNER 3」をきき、それからこれまた久しぶりにダコタ・スィートをかけてみている。こうしてCDをかけていれば音は良い方向に変化するはずだ。 2005.9.8

思った通り、CDプレーヤーをリピートにして一晩動かし続け、朝スタジオに来てきいてみるとCDの音は変化してきた。太いというよりはたくましい感じになり深みも出てきた、まろやかさやわらかさは減り、音がハッキリしてきた、つまりピントが合ってきたようだ。だからと言って音が硬質になったわけでもなく、修理前より総合的な音質は向上していると思う。まだもう少し変化するのかも知れないが、おそらくここまでくれば初期の音質変化は8割がた終了だろう。よし、今日からは当分LPをかけず、CDをきくぞ。さすがに禁断症状出かかってたからなあ。

今日の午後は、JBL S9800+ブラボーですごく良い音をきかせてもらったので、その後2時間半ぐらい感覚が狂っていた。ワイドレンジ、圧倒的なバランスの良さ、ちょっとめげたのだが、その後、気を取り直してもう一度自分のサウンドを磨こうという気持になった。

このところの安定は、もしかすると凡庸な袋小路に入っているのではないか? 心の中でそんな疑問がわいてきた。 2005.9.9

しかし、機器を買い替えたいなんてことはまったくない。マランツ7はものすごく敏感で、ちょっとしたことで本領を発揮しなくなるのはわかっている。とりあえず、もう何ヶ月も接点を磨いていない、夏も過ぎつつあることだし、ピンケーブルを全部外して接点を全部きれいにした。真空管をいじるとまたすごいノイズが発生するかも知れないので、まずはRCAの端子を磨いてみると、やはりシャープさが戻ってきている。よしよし、こうでなくちゃいけない。SACDプレーヤーの慣らし具合との兼ね合いもあるから、あまり極端なことはせず、徐々にやっていこう。

 そして、夜中もずっとCDをリピートにしていると、だいぶ音は良くなってきた。 2005.9.10

そこへ、このようなSACDが届いた。御田さんのダウンミックスアンプがまだなので、マルチはおあずけだが、早速2chできいてみた。最初はCDで、途中からSACDできいてみると、やっぱりSACDはすごいので、S 9800のオーナーにも是非きいてもらいたいぐらいだ

富樫雅彦と佐藤充彦の「コントラスト」と同じ紀尾井ホールでのライブだ。以前から書いている通り、僕はアコースティックギターを弾く渡辺香津美が好きだ、そしてなかなかのサウンドなので、これはマルチでの再生が楽しみだ。秋はマルチch再生が満開になる予定

 

 

カートで撮影機材を運んでいるカメラマン(多分プロ)はキライだ。撮影に必要な機材を自分の体で運ぶ気がなくなったら、僕はロケの仕事を辞退するだろう。タクシーに乗ってもいいわけだし、とにかくカートに乗せてゴロゴロガタガタとカメラやストロボを運ぶなんて信じられない。新藤さんが書いている、振動で受光体にホコリが付きやすくなるという事以前に、何て言うんだろう、美意識の問題かな。トートバックで撮影に行くのはOK、でもカートは絶対にイヤだ。

少し涼しくなったこと、そして先日のS 9800サウンドをきいたことにより、「自分の音をもう少し良くしよう」と思った。いずれにしても、僕のところはあんなに音量を上げられないし、求めているところも異なるのだが、それはそれ、僕は自分と違うタイプの音を好んでいるところがあり、秋に向けて立て直そうという気になってきた。 2005.9.11

そういうわけで、戻ってきたSACDプレーヤーもけっこう音が変化しているので、それに合わせていくつかの音質調整を試みている。この間に用いた物は、綿棒、ウエス、接点復活剤、掃除機、電源ケーブル三種類、メジャーなど。単に音が変わっただけ、目先が変わっただけかも知れないけど、いいじゃないか、オーディオはどのみち自己満足の世界です。

スピーカーの位置を2cmか3cm移動して、サブウーハーの設定を何通りか変えると、一カ所だけ驚くほど低音が出るポイントがあった。それは台所にいた人が「なんか急にズンズンしはじめた」(音量は変えていない)というぐらいハッキリわかるものだった。ここは重要で、このポイントを発見してどうするかがその人のオーディオを決める。僕は一応その位置にしてサブウーハーの入力と出力を少しづつ絞ることにした。もちろんある程度の量感は確保するとして、爆音で勝負してるわけじゃないのだから、繊細さみたいなもの、ニュアンスの深さみたいなものに磨きをかけるしかないだろう。

少し涼しくなって、三日ほど真剣に取り組むと、その分成果が出るので、やっぱりオーディオは楽しいなあと思う。カエターノがすごく良い感じになった。そして、面白いことに、今回の音質調整はもっぱらCDで行ったのだが、CDで良い感じを出して、その後でLPをかけるとLPも必ず良くなっている。これは両方やっている人じゃないとわかってもらえないだろうなあ。 2005.9.12

スタジオK'sから神田明神の前を通って、坂を下って行くとダイナミックオーディオのサウンドハウス(旧サウンドパークダイナ)とか5555の方へ行ける。サウンドハウスがある交差点の手前の変形T字路のあたりに、新しくきれいな建物が建った。どうも、石丸電気のオーディオショップらしい。割ときれいなつくりだし、サウンドクリエイトの拡大版みたいなショップになるのだろうか? いずれにしても、このあたりにオーディオショップが集まるのは良いことだ。

戯れる会例会終了後お楽しみのオークションにて、500円〜300円で売られるソフト、そして同時に大阪からダウンミックスアンプが届いた。このダウンミックスアンプも何回宅急便でやりとりしたかなあ。センターチャンネルのレベルの問題で何度もメールやSkypeで話し合った。なんだかんだで、けっこうな手間ひま金がかかったけれど、好きなことのためだからしょうがないよな。今回のバージョンVer.3.1でOKになって秋はマルチ満開の予定。明日は撮影が入っているから、いまから接続して電気を流しておき、午後さっそくきいてみよう。

SACDマルチをきいてみると、随分音が変化していることが1秒でわかった。リアのアンプの音量は数値で表示されるので、修理前の数値に合わせ、それに応じたマランツのボリューム位置も覚えているから、その状態できいてみると、とてつもなく大きな音が出る。[こりゃちょっと近所迷惑かも知れないなと思うぐらい大きな音が出るので、実際はかなり近所迷惑だろう]  リアはダウンミックスアンプを通らずSACDプレーヤーからダイレクトにAVアンプTA-DA7000ESのMulti inに入っているわけだから、以前の接続と何も変わってはいない。ということはSACDプレーヤーからの出力が上がっているのだろう。ちなみにBeckのSeaChangeにおけるリアの音量は、修理前は-18.5dbだったが、修理後は-24dbできいている。

そして、音は確実にクリアになっている。とにかく、StudioK'sで出現したマルチのこりゃすごい記録は更新されたので、このまま、とんでもない故障さえなければ9/17の戯れる会参加者の皆さんには「なるほど」と思ってもらえることだろう。左右スピーカーの外側でしかもスピーカーの前方から音がきこえてくるのだが、その感じが以前とは随分違うので、マルチも進化している。 2005.9.13

暑い日が続いている。でも、今年最後の暑さだと思えば、この暑さも楽しむことができるのかも知れない。

チラッと見たところによると「鈴木秀美のバッハ チェロソナタ SACD」は4chで録音されているみたいだった。今後このようなソフトが増えてくるのだろうか?

SACDマルチが最初から4chで規格されていれば、このような装置(ほぼ実物大)が不要だったということなのだ

考えてみれば当たり前の話だが、マルチch再生だってピュアオーディオなのだから、2chでまともに鳴る装置の方がより高度な表現が可能になる。

AVは映像という強力な要素が加わるために、人間はピュアオーディオのマルチほど厳密に音をきくことをしなくなる(できない)。5chの専用システムが持てるのなら、それを高めてゆけばやはり高度な再生が得られるのだろう。それを否定する気はない。ただ、残念ながら僕には2セットの装置を面倒見ることが出来ず、そして、マルチでも最高の音質を得たいからプリアンプはその時一番気に入っているものを使いたい。

ああ、まあ確かにマランツ7はもう1台あるから、SACDプレーヤーのセンターチャンネルをもう1台のマランツ7の片チャンに入れて、もう1台同じパワーアンプを使って、KEF105を手に入れてセンターに置くという方法もある。そして、映画をみるときはセンタースピーカーをどかすわけだ。実際そのようにしている人もいるみたいで、尊敬はするけど、僕がやるのは勘弁してもらいたい。それに僕はレコードプレーヤーのキャビネットが見えるのを嫌って、ラックに落とし込んで使っているほど「オーディオ機器の視覚的な主張を少なくする」努力をしているわけで、左右のスピーカーの真ん中にセンタースピーカーなんていう邪魔な物を置くぐらいなら、マルチには手を出さない。

朝からヘリコプターがうるさいと思ったら、今日は秋葉原のヨドバシカメラが開店する日だ。秋葉原はこれからすごい街になりそう、そして湯島は? 

WOWOWで録画した「エトワール」というバレエの映画をみた。何年か前に、バレエの先生をやっている友人が「途中でみるのが辛くなった」と言ってた映画で、気になっていた。子供の頃からずっと訓練し、競争させられ、勝ち残ったメンバーが何ヶ月も練習をして本番をむかえる。印象的だったのは、ハッキリした階級制のこと、女性の体がぜんぜん色っぽくないこと、舞台から戻ったダンサーが男女とも汗だくでゼーゼーハーハーしていること、などなどなど、沢山。

明日は戯れる会例会だから、もう何日もかかって準備をしている。あと一歩という中途半端で不完全な状態を、集まった人たちというより自分が納得できるところまで何とか持っていきたい。マルチのことに専念すれば、どうしたってレコードをかける時間は少なくなるから、最低一日にLP二枚程度はトーレンスとガラードの両方を使う。よくターンテーブルを回しっぱなしにしている人がいるけど、それだけじゃダメで、30分でもいいから、アームとカートリッジを動かしてあげることが大切だ。こういう準備は今回に限らず、ずっとその時なりにやってきている。おかげで進化したり保てたりしていることも多々ある。

バレエもサッカーもオーディオも、オーディエンスは必要で「いいぞ!」とか、「お見事!」とか言ってもらわないと、「ダメかもしれないからもういいや、やめちゃおう」ってことになる。ついでだから書いてしまうけど、何でも誉めれば良いというものでもない。その場限りの関係ならともかく、表面的な賛辞は長い間には見破られるし、世間は広いようで狭いから(オーディオ関係は狭いようで、さらに狭い)あっちで言った言葉とこっちでの言葉に矛盾があるとすぐにわかってしまう。そういうことがまったく耳にとどかないぐらいの帝王状態にまで達することができれば、それはそれで幸せかも知れない。   2005.9.16

ギンイチに電話してみると、EOS-5Dが巷に出回り始めるのは9/28らしい。値段は予想よりちょっと安いようで、来年になれば30万を切りそうな感じだった。さて、僕は来年まで耐えられることができるかどうか? 難しいところかも知れないなあ。

さて、今日の午後は戯れる会の例会、みんな音楽もききたいけど話もしたいようだし、夜は例会の第二部というのをやることにした。オーディオマニアが15人も集まって十分に話をすることができるスペースってのはなかなかないのだ。

福島から7人の参加者を含む 戯れる会例会終了。面白かったけど、疲れた。 2005.9.17

一昨日が戯れる会例会で、昨日は午後から夜まで撮影で出かけた。夜帰る途中、御茶ノ水駅の階段を上っただけで、ものすごく疲労を感じ、駅からスタジオまでカメラと三脚二本を持って歩くのに「なんでこれほど怠いんだろう」と思った。聖橋の上からみる満月は美しく、あんなにきれいな満月を見たのは久しぶりだった。スタジオに戻るとモノクロプリントをやっている人たちがいて、いつもなら彼らと雑談して過ごすのだが、昨夜は椅子にすわっていられず、和室で寝ていた。軽い風邪をひいているようだ。

充実というのは疲れるものだ。そういうわけで、昨日も今日も自分の装置で音楽はきけてない。 2005.9.19

一昨日の戯れる会において、もっとも危険だったのは川崎さんが持ってきたマーカス・ミラーのCDだったと思う。マジに、これはやばい。 僕は、マーカス・ミラーを特別好んでいるわけではないが、こういうソフトをアタマから終わりまで、思い切り大音量での再生が許される環境だったら、オーディオ的にはまた次の段階に発展できそうな気もする。

毎回、戯れる会例会の内容を具体的に書き記し、公開する気はないのだが、たまには公開してみよう。

 

9/17は、初参加という人が三人、そして一年9ヶ月ぶりという人も三人いたので、最初の一時間ちょっとは僕が適当に選んだソフトをかけてきいてもらった。優秀録音でみんなが持っていそうなソフトもあり、リクエストに応えてかけたものもあり、いろいろだった

この選曲にさほど意味はなくて、他のソフトでも良かった

 

上のソフトをかけ終わった後、参加者持参のソフトを数枚きき、マーカス・ミラーはその中の最後だった。マーカス・ミラーは以前よりそれらしく鳴り、僕は台所でコーヒーを13杯分いれていたのだが、暗室の壁がビリビリ、ビシビシ響いていた。あんな鳴り方は初めてだったので、TKOってことにしてもらうと、もうそこで3時すぎで、コーヒーを飲みながらの休憩となり、しばしの歓談後、後半はSACDマルチをきいてもらった。

 

マルチch再生を初めて体験するという人が半分以上だったので、おさらいをやりながら進行した、ピンクフロイドの名作、クラシックのホール的なもの、大会場でのライブなど、一つ一つ解説をしながらきいてもらった

マルチの定番、チック・コリアとビヨークの後、Beckをかけ、すわる場所を交代してもらいながら、BeckのSeaChangeからは三曲かけた

マルチもこれだけの種類をきけば、どこをどうきけば楽しめるかがわかる。もしマルチに取り組んでいるショップやお宅に行ったら、僕のところとどう違うか、試しにきかせてもらうと良い

SACDプレーヤーを修理してもらったから、このことによる変化もあり、狂気もチック・コリアも久しぶりだったが、我ながら進化していることが確認できた。ビヨークも同様に良くなっていた

マルチch再生を一通り体験し終わると、もう残りは35分しかなくて、最後は参加者持参のカートリッジ、ライラ・ヘリコンをTD124とガラード401に装着し、同じLPをかけるという試みだった。時間がないのでアームやトランスまで統一することは出来ないが、それでも何かは浮かび上がってくることだろう。まず、TD124でヘリコンをきくと、これがすごく魅力的な音で、思わずとなりにいた川崎さんと二人で「いいですねえ」と言ってしまった。僕は自分の装置でヘリコンというカートリッジを、多分過去3回、時間にして正味10時間ぐらい使ったことがある。そして4度目のヘリコンは僕たちに素晴らしいサウンドを提示した。

同じカートリッジをTD124とガラード401につけてきくということを僕はしてこなかった。両方とも音は良いし、昔と違って、もうそういうこと(つまり比較)にあまり興味がなくなっている。だから、ガラードはベンツマイクロのL0.4とSAECのC1だけを使っていた。TD124できいたばかりのヘリコンをガラードにつけてきくと、もちろんアームもケーブルもトランスも違うし、ターンテーブルも違うわけだから、違う音が出る。僕がこのとき一番強く感じたのはターンテーブル差違よりもアームの、それもアームのOILの音だった。SAECのC1はこのアームとOILに助けられているのかも知れない。

ここで初めて、「ライラ・ヘリコンには、TD124が良い、ガラードが良い、どっちでも良い」ということで、戯れる会例会恒例の「せーのでグーチョキ」をやったのだった。結果はけっこう意見が割れて面白かった。ちなみに僕はどっちでも良いという意見だった。

両方のターンテーブルで同じ三種類ほどのLPを再生してきき比べ終わると、ちょうど6時になり、5時間の例会も終わり、夜の第二部に突入したのだった。 2005.9.21

石丸電気の新しい高級オーディオ専門店は、およそオーディオ店らしくない感じで完成しつつある。店の名前も「なんとか&なんとか」というもので、オーディオとかサウンドというような言葉はつかわれておらず、まったく覚えられない。オーディオは楽しい趣味だから、もっと沢山の人がより良い音質で音楽を楽しんでくれたら最高だと思う。LPもあり、CDもあり、SACD、そしてマルチもありで、オーディオ史上最高の充実ぶりだ。そして、やっとのことでいろいろなことがわかってきたところなのだ。

昔は上手な写真を撮りたいと思った。その次はセンスの良い写真を撮りたかった。その後は金の取れる写真を撮りたいと思った。そして、端正な写真を撮ると同時に自分のスタイルをつくりたかった。それらが最低線実現した後は、自分にしか撮れない写真を撮りたくなった。多分、オーディオでも同じ事をやっている。

よその素晴らしい音をきかせてもらうのは大丈夫だけど、人様の素晴らしい写真を見るのはまずい場合がある。音は真似ても同じにはならないが、写真は同じものやよく似たものが撮れてしまう危険がある。だから、写真集やWebもあまり見てはいけない。また、価値ある写真をWebで公開するのは、自分自身がその写真の真価を理解していない人か、溢れる才能があって、良い作品を大量生産出来る人のやることだ。まねる価値のない写真や、自分の感覚や興味と直接シンクロしない写真は見ても大丈夫だ。

このところ、オーディオ装置から音を出している時間が減った。音のエネルギーが強くなったので、以前ほど流してきくことが出来なくなっていて、ちゃんときくと十分に近所迷惑なのだ。写真もある程度思った通り撮れるようになっているので、撮る量は減った。ただ、音をどうしたいか、と、どういう写真をとりたいのか、ということは毎日毎日、昼も夜も、寝ている時も食事の時も、いつも考え続けている。考えることが仕事だったら大もうけだなと思うぐらいいつも考えている。もちろん、闇雲に撮っていた時期もあるし、狂ったようにモノクロプリントをやっていた時期もある。オーディオもそうだ。おかげで少し自由にはなった、でも、あのうんと不自由な時期の方が楽しかったような気もする。

そして、もどるのはいつもベートーヴェンの後期ピアノソナタOP:109・110・111。  2005.9.22

僕はマーカス・ミラーのCDを持っていないので、自分でリンクしたamazon.comのバナーをクリックして買ってみた。

サーロジックのサブウーハーにはいつくかの調整箇所があり、その中にメインスピーカーとの距離を調整するつまみがある。僕の場合はサブウーハーの方が後方にあるから、例えば-1.5mとかに設定するのだが、KEF105のUNI-Qシステムはエンクロージュアの中に上下二つのウーハーが入っているので、正確な距離はわからない。それで、先日10cm単位での設定を変えてみたところ、-1.3mで低音がブリブリ出るようになった。綱引きをやっていて、チーム全員の力がまとまったような感じだろう。もちろん、メインのスピーカー位置を移動すればこの値は変化する。そのブリブリ出るところだと出過ぎなので、入力と出力を少し下げたのが今の状態だ。だからマーカス・ミラーの低音も膨らみすぎず、しかし部屋に対して一番効率の良い低音の出方をしているらしい。

昨日からアンプがなにやらブツブツ言っている。ま、季節の変わり目だから、そんなこともあるでしょう。

うーん、琴欧州 若いなあ。 2005.9.24

やっと涼しくなってきたので、オーディオのやる気も倍増というものだ。先日の戯れる会例会以来僕はLPをきいていなかった。それはカートリッジの選択に悩んでいたからだ。とりあえず、TD124にはトーレンスのMCH2かなあ、そしてガラード401にはSAECよりはまるカートリッジがあるのだろうか? まあ、ちょっとやってみよう。

律儀に、このサイトへ原稿や写真を送ってくれる川崎さんに感謝しつつ、川崎さんのページを更新したので、下の看板をクリックしてご覧下さい。看板のあるページも、もう半分くらいは更新がされなくなっていると言うか、よそのサイトに移籍なのかなと思うものもある。契約関係があるわけじゃないから、どこからどう依頼されて、どこに寄稿しようとその人の自由だから、新しい動向は新しいサイトでご覧下さい。

TD124にMCH2を取り付けて、さて針圧をと思って、Windsのスイッチを入れようとしたら、スイッチが入っていた。9/17にヘリコンをつけた時に使った人が切り忘れたのだ。Windsの電池は角形の9Vなのだが、電池の消耗は激しく、スイッチを切り忘れると、数日でなくなる。それで、僕は防衛策として充電式の電池を入れたのだった。で、またこの充電器が15時間ほどかかるタイプなので、充電が完了しないとTD124の針圧は(鉄プラッターにMCカートリッジの磁石が吸い付くから)決めることが出来ないのだった。まあしょうがない、明日はガラードもTD124も、そしてガラードにつけてあるMA-505にはモノラルカートリッジを付けてきいてみようと思っている。 2005.9.26

マーカス・ミラーのCDを買って恐る恐るかけてみる。以前だともっと膨らんだ感じになる筈のベースの音が割とタイトにきこえ、そして、そのまま音量を上げて、やばいなあと思うぐらい上げてみる。すると、この前戯れる会で僕や参加者がきいた音、体感した音というか振動というか音+揺れとは明らかに違う状態になる。僕はあれから装置をまったくいじっていないから、違うことと言えば、9/17は戯れる会で参加者が10人以上いたことだ。どうも、それが影響しているらしい。でも、それは一般的に言われる「部屋にいる人数が増えると音が変わる」なんてことではない。それなら今までだって10数人の参加者はざらだし、僕の出している音はそういう面では部屋にいる人数の影響をあまり受けない。

僕が今回思ったのは、つまり、再生音はStudioK'sの床と言わず、壁と言わずすべてを揺らし、僕が一人で同じ音量にすると段ボールの箱にユニットを入れて鳴らしているような状態になるらしい。ビリビリいう段ボール箱を手で押さえれば振動は止まるわけだが、10人以上の人が椅子に座っていて床を押さえつけてくれて丁度良い。それぐらい部屋や壁、つまり空気全体が振動している、どうもそんな感じなのだ。

そして、いろいろ考え試聴も繰り返した末、Perpetual TechnologiesのP-1Aを外し、しばらくの間、P-3Aと外部電源のみできくことにした。

このところ、スピーカーが一回り大きくなったような、そんな感じの変化が起きている。「もしかすると、ついにこの部屋の限界まで達してしまったのかも知れない」僕は今そう思っている。 2005.9.27

一昨日から、ガラード401にモノラルカートリッジをつけてみている。オーディオクラフトのアーム、マイクロのMA-505、オルトフォンのCG25D、音のエジソンのカートリッジ、これらを色々組み合わせる僕の行為は「オーディオクラフト+音のエジソン」で止まった。同じ組み合わせでも以前はこんな音はしなかったのだが、とにかく、とにかく素晴らしい。そういうわけで、手持ちのモノラルLPを全部きいてみている。これはいまだかつてなかったことだ。もっとモノラルのソフトが欲しい。本当に強くそう思っている。 2005.9.29

オーディオクラフトのアームに入れるOILはかなり音に影響するようだ。そんなことはわかっちゃいるが、音の変化を目の当たりにすると、あらためて確認させられる。OILを抜けばぬいたでまた違うバランスになるわけだし、これはインシュレーターや、オーディオボードなどのアクセサリー類、ケーブル類、全てに共通する現象で、完璧なものはない。OILを入れた良さをいかそうと思えば入れればいいし、抜いた方が良ければ抜けば良い。もしかしたら、その中間の粘度のOILが良いのかも知れない。もしかしたら、そのまた中間の粘度がベストなのかも知れない。これは自転車のギア比のようなもので、その時の体調や勾配、風向きや前を走る人の体型などによって、ほとんど無段変速的なギヤ比が欲しいわけで、何と現在は後輪に10枚のギアが付くようになった。そんなに必要かと自転車乗りに問えば、自転車乗りは「こんなに良い音で音楽がきけて、その上一体何が不満なのだ?」と言うことだろう。

スタジオから徒歩15分足らずの、小川町オリンパスにE-500が展示してあるらしいので、触りに行ってこよう。

昨日のオーディオ
某所にて、LS3/5A、ウエスタンエレクトリック755A一発入り、4発入り、Rogers Studio1a などを数時間にわたってきく。オーディオという行為を考えさせられる大変濃密で有意義な時間だった。やっぱりオーディオは楽しいと思う。でも、ちょっとしたポイントを押さえられるかどうかにかかっている。それさえつかむことが出来れば、こんなに楽しい趣味もそう滅多にあるものじゃない。 2005.9.30

某所にて、LS3/5Aを沢山試聴する。マドンナのCD、グルグルまわる。なんだかんだで12時間以上がアッという間に過ぎた。楽しすぎて疲れを感じることも出来ない一日だった。 2005.10.1

今朝は皇居に行って自転車に乗っていたし、歩いて一周もしたので、午後は疲れて昼寝をしていた。10月だというのにものすごく暑いので、アンプのスイッチを入れる気が起きない。明日きこうっと。 2005.10.2

カゲトラさんのお宅でこのCDの二曲目をきくとすごい。マルチでもないのに耳の横から音がして、ヒューンって、まるでブーメランみたいにS字曲線を描きながら音が飛び回る。だから、あれをきかされた人はみんなこのCDを注文したくなる。で、CDを買って僕のところで再生すると、ああはならない。よそのお宅ではどうなんだろう? マドンナのCDは沢山売れているから中古なんてメチャクチャ安いので、是非買って再生してみて下さい。

 

これが、石丸電気のオーディオ専門店

いっぱい売れて、オーディオ愛好者が増えるといいですね

やや年齢の高い層や女性をターゲットにしているのだろう。宝石店のようなガラスのケースが印象的だった

 

依頼してくれればやる気はいっぱいあるのだが、今のところオーディオ雑誌の仕事はオーディオベーシック誌だけで、他の雑誌から仕事をやりませんかという話はない。人間の能力には限界があるし、まだまだ出来るという程度でやっていた方が良いのかも知れない。誉める言葉や例えにしても、そうそう考えつかないわけで、いっぱい書くとみんな同じ表現になってしまったりする。何でもそうだけど、粗製乱造は良くない。オーディオ雑誌にハンバーガーやファミリーレストランの味を求める人はいないと思うが、そうでもないことが、ままある。

オーディオベーシック誌は季刊だから、年四回、三ヶ月周期でオーディオ関係の撮影や取材、原稿書きなどをやることになる。今はちょうどその時期で、インターナショナルオーディオショウなどもあるし、僕にとって、秋は一年で一番オーディオ関係の仕事をする時期かも知れない。 2005.10.3

何をどうかけても、それなりに楽しめるようになったので、しばらくは、朝スタジオに来てアンプのスイッチを入れ、お湯をわかしてコーヒーをいれ、それを飲みながらその時の気分にあった音楽をきくだけの毎日が続きそうだ。以前からずっと書いているけど、1台でCDとSACDとSACDマルチが不満なく再生できるプレーヤーがあれば、そしてそれが定価100万円以内で買えればと願っているのだが、どうもその路線はなさそうだ。僕の場合、DVDはMacからで不満を感じないし、DVDオーディオはきかないので、ユニバーサルプレーヤーは不要だ。

SACDマルチはとても素晴らしく、今あるソフトのためだけに装置を構築したとしても、その価値はあると思うが、「これはすごい、誰にきいてもらってもすごいと言ってもらえるだろう」と思えるソフトは一年に数枚でしかないところが、ちょっと悲しい。まあ、そういうわけで、どうせサラウンドスピーカーやAVアンプを導入するなら、映像併行が楽しめる。映画も良いし、音楽もののDVDや実況放送、サッカー、相撲、テニスなどのスポーツ番組も音が良ければ迫力10倍増だ。

「上がり」などとさびしい事を言う気はさらさらないが、限界が見えた。それはKEF105を中心とする機器に対する限界ではなく、部屋によるものだ。この部屋でやっている限り、どのような機器を使ったとしても、その機器なりに追い込んでいけば、現状かかえているような問題に突き当たる。そして、僕が楽しみたいと思っているソフトはみんな十分に良く鳴っている。だから、メインの機器をあれこれ買い替えてさらに上を目指すという気持にはなれない。このまま、近所迷惑にならない程度に楽しみ続けるのがよい。   2005.10.4

さすがに今日ぐらい涼しくなると、音楽をきくのが楽しい。昨日撮影した画像を処理しながらあれこれ楽しむことにする。モノラルLPもほとんどきいてしまったので、ガラードにはどのカートリッジをつけようかな。なんてことを考えている。まあいいや、もう二〜三枚きいてないモノラルLPもあったから、あれらをかけてから考えよう。

ガラードのカートリッジをつけかえようと思ったのだが、思い直して昔よくかけたCDをあれこれきいてみた。レコード演奏家訪問の時にかけたソフトとか、音をきかせて欲しいと誰かがやってきた時にいつもかけていたが、最近はご無沙汰だったというようなソフトだ。具体的に書くと、ヘザ・ノヴァとか、佐藤充彦と高田みどりの「ルナ・クルーズ」とか、内田光子のモーツアルト ピアノコンチェルト第22番・23番とか、ブレンデルのハイドンあたりだ。これらも、久しぶりにきくと大変新鮮だった。一番好きなオペラ「ばらの騎士」の幕切れの三重唱も久々に大音量で再生したが、このスタジオでの8年間でベストだった。このカラヤン+アンナ・トモワ・シントウ+バルツァのCDこそは、リマスタリングをしてくれたらもっともっと良い音で楽しめることだろう。残念だ。

というようなことをやりながら、今日は包丁を三本、おろし砥も使って丁寧に研いだ。包丁が切れるのは音が良くなるぐらい気持いい。みんな切れない包丁だからね。 2005.10.5

今日はインターナショナルオーディオショウの撮影。今年は何か面白そうな物があるかなと、楽しみにしつつ出かける。

インターナショナルオーディオショウは、ここ数年間取材で金曜日の午前中に行っている。今年はとても人が多かった。音も割と良かったと思う。けっこう色々な人が仕事を休んで来ていたので驚いた。

スタジオに戻り、とにかく一日ドッスンドッスンした音が耳に入ってきていたので、普通の音楽をききたいなあと思い、ジョニ・ミッチェルのベスト盤「Hits」をかけている。すごくいい。 2005.10.7

昨日に引き続き、今日はハイエンド(魂?)ショウの取材だ。

交通会館で開催されているハイエンドショウは、来ているお客もちょっと違うし、なにしろアルミのベンチを移動して交代でデモを行うあたりがホノボノとした雰囲気でなごめる。

いくつかのメーカーがやっと、金色からシルバーのパネルになった。

BS-iで「ヘドウィグ・アンド・アングリー・インチ 完全版」というのを途中からみる。多分半分ぐらいからかな。なんかわからないけど、大変魅力的な臭いがした。全部みたかった。なんちゅうか、音楽が最高なんですよこれは。 2005.10.8

YGアコースティックスのデモをきくとくれるCDを自分の装置でかけてみて、自分の音がYGの音より劣っているとは思わないのだが、

今はラックがTAOCからSolidTechに替わったし、SACDプレーヤーも修理に出しているし、もう同じ音にはなるわけがないのだが、1月の、マランツ仙人がやってきた直後、触っただけで切れるような音も懐かしくなった。だから今夜は、マランツ7を外して仙人のお宅へ持ち込み、もう一度みてもらおうかと思っている。 2005.10.9

なんでだかわからないけど、おかげさまでマランツ7の音はふくよかさと力強さと切れ味を取り戻した。これで音楽の秋を楽しめそうだ。古い機器は、皆さんが考えているほど古めかしい音ではない、どころか、現代の機器は「含みの多さ」という点で過去の名器を越えていない。それはCDが(SACDでも)LPを越えられないという現象と似ている。インターナショナルオーディオショウとハイエンドショウに二日間行って、最新の音をきき、雑誌の取材でも友人宅でも新しいハイエンド機器のサウンドを体験しているが、今の自分の音が古いと感じたことは一度もない。そして、蛇足ながら書き添えると、復刻版の名器もどきに関してはコメントも自分で使うことも遠慮させていただく。  2005.10.10

昨夜みた夢。いつか、最新のスピーカーを色々な機器で思い切り鳴らす。管球アンプや古いレビンソンや、超弩級アンプや、最新のデジタルアンプなど様々な機器で鳴らしたらどうなるのか? そんなことをやってみたい。最新のスピーカーってのは何がいいだろう、AVALON?ウイルソン?YG? で、しかもその体験をある程度共有できたら楽しいだろうなと思う。

 違う流派

こちらさんたちは、普段僕が接している機器とは明らかに流派が異なるので、それに応じた迎え方が求められる。そこを理解していないと、悲劇だ

最近やっと、そんなことがわかってきた。決してオールマイティではないから、一般に知られる現代的高音質ソフトをかけても「???」って感じだけど、ぴったんこのソフトをかけると、(何と言ってもヴォーカルでしょう)ゾクゾクしちゃう

そして、面白いことに、このスピーカーはマランツ-SDサウンドより、ソニーのAVアンプの方が良い感じだったりする。つまり、このスピーカーの良さはこういうところだということを理解していれば、その他の機器はそのイメージに合うものを探せば良いわけで、必ずしも古い管球アンプだけが良いというわけでもない。このあたりが、オーディオの醍醐味だろう

この二台は欲しい方がいればお譲りしますが、とても高価なので(このスピーカー1ペアでYGの上だけぐらい?)、世間でどのような評価を受けて、これらがどのような値段で売られているかをご存じの方限定です

このアンプは、札束を積もうが何をしようが、気に入らないと作ってくれなかったそうだ 

スピーカーは花婿候補がお一人登場したので、正式に決定するまで僕が一日2時間ほど鳴らすことにした。当たり前だけど映画用にはなかなか良い

「ヘドウィグ・アンド・アングリー・インチ 完全版」を不完全なカタチで半分ぐらいみて、妙に気に入ってしまい、きっとサウンドトラックがあると思って、amazonで探すとやっぱりあった。面倒なので二種類買ってみた。黒い方が先ほど届き今きいているけど、大変良い。まあ、1/6インチ分程度でもいいから、映画を見てからの方が楽しめると思いますけどね。

 

ここまで来ると、ピアノ&ヴォーカル楽譜もいってしまおうかな、なんて思ってしまう。

最終バージョンになるはずの、ダウンミックスアンプVer.3.2が大阪から届いたので、Ver.2.2は戯れる会の会員に巡回に出す予定だ。えーと、誰に送るんだったかな。他にも色々きいてみたい物が集まってきていて、オーディオ的にはすごく密度の濃い10月になっている。

10月は戯れる会例会をやらないことになったので、土曜日が一日空いたから、原美術館の「やなぎ みわ」展を見に行きたい。写真作家で好きなのは誰だろう? 植田正治 杉本博司 やなぎみわ ってところかな。植田正治をキライだって言う人には出会ったことがない。偉大なアマチュア性とモダニズム、植田正治の魅力はこの二点、杉本博司はモノクロームプリントの美しさと日常的な意外性(インターナショナルオーディオショウのどっかのブースにいつも「海景」が飾ってある)、やなぎみわもプリントが実に美しく、虚構の楽しみ。

あれもやりたいこれもやりたいと思っている間にいい年になってしまった。20才をスタートとしても、ここまでに30年以上かかってしまい、残された時間はどんどん少なくなっている。 2005.10.12

一日二時間程度のつもりだったのだが、もう一日半ほどウエスタンエレクトリックの755A4発入りというスピーカーで音楽をきき続けている。CDプレーヤーSCD-XA777ESのDACからの出力を、長いピンケーブルでソニーのAVアンプにつないでいる。だから2chのSACDもきくことができる。KEFの音とはものすごく違うので、とまどうと言うか新鮮と言うか、自分が信じ、愛してきた目標や基準、価値とは明かに異なった世界で、そこには別の基準や文化が存在する。こういうことを頭と身体両方で理解すると自分が生まれ変わるような気さえする。いや、事実、生まれ変わっているのだ。

ばらの騎士のソフトはとても少なく、クライバーのものはDVDしかないはずだし、結局CDというとカラヤン指揮をきくことになり、僕は10年以上前に全曲盤とハイライト盤を買った

今売られているCDが同じ音質かどうかは定かでないが、このソフトは音がやや硬質なので、リマスターCDが出てくれればと思っている

音が今ひとつなので、この度輸入盤のLPを買った。CDと比較すると、LPの再生音はかなり満足のいくもので、元帥夫人のモノローグの後、マリアンデルからオクタヴィアンが元の男になって戻り、マルシャリンが「プラターに行くかもしれないので、馬車の傍らに馬に乗って来てくれ」という会話(文学的なんだよな)のあたりをきいて、またヘロヘロしてしまった。まったくホントにこのオペラは全編が媚薬そのものだ

やはりLPを買ったのは正解だった  2005.10.13

 

想像よりずっと良い音だった、JBLのパワーアンプ

放出予定あり

夏用にとっておきたい気もあり

 

かなりのオーディオマニアでも現物を見るのは初めてという人が多い、故伊藤喜多男氏制作のプリアンプ  CRESCENT RA 1501-A

僕の想像よりずっと、端正で精緻なサウンドだった。組み合わせるパワーアンプは、純正である伊藤喜多男氏の手によるパワーアンプとのペアがベストだろう

丸二日間使い続けることにより、音はかなり力感が増してきた。マーク・レビンソンとか、チェロとか、アキュフェーズの高級プリアンプと一緒にブラインドテストをしてみたくなる

文句のつけようがないほど優秀なサウンドで、セルシオ的完璧さかも知れない。マランツ7はわがままで愚かだったりもして、イタリア車的な部分を持っているので、両方あると楽しいかも

 

写真家の新藤修一さんと電話で話をしていて、意見が一致したこと。それは、レンズ交換出来ないデジタルカメラが欲しいということだった。つまり、現在考えられる最高性能の単体レンズ(開放f2.8以上の明るいもの)に適当なボディをつけて、レンズに合わせて何種類か発売する。35mm換算、24mm 28mm 85mm などの単体レンズに適当な1000万画素程度のボディ付きカメラが欲しい。85mmはある程度マクロ撮影にも対応していて欲しい。

三年使ってボディが古くなったらボディのみ交換するシステムならなお良い。一眼レフである必要はなく、2.5インチ液晶によるライブビューでOK。レトロフォーカスのレンズである必要もないし、単体レンズなので、レンズの歪みや周辺光量の低下はボディ側で修正する。一人勝ちしているキヤノンに他のメーカーが対抗するにはこれしかないだろうと思う。こういう物を定価12万ぐらいで出してくれれば欲しいと思う。それでも名機リコーGR1の倍の値段だ。

Rogers のスピーカーを伊藤アンプできいてみる

このプリの場合はRogersの方が合うようで、こんな風に適当に置いただけなのに素晴らしいサウンドだった。やはり僕が一番好きなのはRogersのスピーカーなのだということを再確認した

このスピーカーだったら、スーパーツィーターは不要だし、サブウーハーももっと低いところからの使用になると思う

まあ、そういうわけで、伊藤喜多男氏のプリアンプCRESCENTはもう少しちゃんとつかってみようかということになった。まあ、東京にも伊藤氏と関係のあった人物は存在するようだし、しばらくの間そのあたりを追求してみるのも悪くないかなということになった 2005.10.15

夏に比べると、秋はまともに音楽をきく気になるし、同時にオーディオのやる気も出る。今日は上の状態でブレンデルのハイドンをきいているが、すごく良い 響きだ。Rogersのスピーカーをきいて、いくつか思い出したことがあるので、KEFで試してみたいことを思いついた。

ロジャースとKEFの音は似ている。似ているけどちょっと違っていて、それはとても微妙な違いだけど僕は確実にロジャースの音を好んでいる。実はずっとKEFをロジャースの音に近づけようと思ってやってきているのだ。でも、直接比較をすると、微妙にそして確実に違う、そのことを再確認したので、不満を解消すべく、調整することにした。午後はオーディオ&音楽関係のお客様が見える予定だし、午前中はロジャースを片づけ、プリアンプも伊藤アンプからマランツ7にもどした。

それで、ガラードにつけていたZYXをやめて再びSAECのC1にしてみた。オーディオクラフトのアームも関係していると思うが、多分オーディオインターフェイスのトランスと合わないのだろう、ZYXよりSAECの方がずっと良い感じだった。ガラードのラインはちょっとメリハリの強いカートリッジの方が合うみたいだ。 2005.10.17

先日購入したばらの騎士のLPは、面によってやけに音が違うので、「パーマクリン攻撃」を試みた。その結果ノイズや歪み感はかなり減少したが、ちょっとやさしい音になった。このソフトから優しい音が出るだけでも感動ものだが、これは数回針を通すことによって戻ると思う。なにしろ4枚組8面あるので、全面にこれをやるのは大変苦労だが、ここぞというシーンをきいていみると音はかなり良い、もうCDをきくのはやめにしよう。

もし僕がパチンコ屋の経営者だったなら、閉店時は蛍の光の代わりにばらの騎士の最後の三重唱をかける。これを繰り返すと、オペラには全然興味がないパチンコファンにこの部分だけが刷り込まれ「なんだかわからないけど、知っているぞ」になる。それをさらにさらに繰り返すと、文化ってやつになる。

来月の戯れる会例会はゲストに音楽評論家の渡辺亨氏をお招きすることになった。NHK FMでゴン・チチと一緒に番組をやっている方です。「音のことだけやっててもしょうがないだろ」と、僕は考えている。 

その渡辺さんに教えてもらったのだが、なんとカエターノのサイトでは、これから出る(まだ発売されていない)CDをお試しできくことが出来る。余裕というのか何というのか、楽しみがなくなるというのか。 2005.10.18

料理をやることが好きなので、今度から月に一度土曜日の夕方集まって料理をやったり食べたりする集団を始めることにした。楽しみ。会員は募集していなくもない。

 

僕は収集マニアじゃないから、きかないソフトはどんどん手元からなくなる。クラシックの場合、一つの曲に対して一番気に入っているソフトが一種類あれば良いとも思っている。例えばドビュッシーの前奏曲集のCDはミシェル・ベロフしかないし、シューベルトのピアノソナタ第21盤は古いブレンデル、四つの最後の歌はヤノヴィッツだけでいいという具合だ

ところが、沢山の演奏者でききたい曲というのがいくつかあって、バッハの無伴奏チェロ組曲とか、ベートーヴェンの後期ピアノソナタとか、そしてばらの騎士なんかはいっぱい持っている

これは最近買ったバーンスタイン指揮のばらの騎士。ドミンゴが歌手だ。そりゃドミンゴは歌手だろと思った人には教えてあげましょう、パバロッティもばらの騎士の歌手役でデビューしたのです

Appleから、新しい画像処理ソフト「Aperture」が発表された。アパチャーって絞りのことだったよな。以前から僕は「AppleはiPhotoをPhotoshopにしてゆくはずだ」と言っていたのだが、思ったより早く、単独のソフトで出してきた。Apertureで出来ることは徐々にiPhotoにも反映されてゆくと思う。まだ英語版だけなので、早く日本版が出ないかなと思っている。あの虫メガネみたいに拡大するツールなんかを見ても、CoreImage対応のグラフィックカードじゃないと使えなそうなソフトだ。

ApertureはPhotoshopを補完するソフトということらしい。そう言えば、キヤノンのDPPもDPPで展開したデータをそのままPhotoShopに転送できる機能が復活した。このあたりはやれやれって感じだ。

思うところがあって、バーンインCDを買ってきてかけてみた。音は不思議なぐらい変化したけれど、結果は僕が予想したものとは違うものだった。高域の見通しが良くなり、低域の量感がやや減った。雑味が消えたと言っても良い。やって良かったのか悪かったのかはよくわからないのだが、何枚かメチャクチャ良くなったCDがあったので、あれこれきいてみると他にもすごく良くなっているソフトがあるのかも知れない。陶器を好きな人が、手にとってアチコチから角度を変えて眺めるような行為に似ていると思った。

それで、今朝スタジオに来てLPをきいてみた。もちろんLPの音も変化していて、ちょっとスッキリして、若返ったような感じになった。不思議なものです。

ただ、バーンインCDはやりすぎると良くないという説もあるので、ご注意を!!

真空管アンプを一日中つけっぱなしにして、暑くもなく寒くもない。音楽を楽しむのには最高の季節が始まった。  2005.10.21

何と! KEF105の中に入っているウーハーのエッジ(と言っても内側の直径5cmほどのエッジだが)が破れていることを発見。ここが破けるってことは外周も時間の問題だろう。ウレタンエッジなのでそろそろかと思って、半年に一回ぐらいは点検していたのだが、前回はたしか6月末に写真展をやってKEFをどかした時に見て、あの時は大丈夫だった。別に音が出ないわけでもないから、すぐにどうのというわけでもないけど、まあ、KEF105には無理をさせてきたからここらで引退させてあげても良い。けど、困ったな。次のスピーカーのアテがまったくない。まっとうにいけばやっぱり英国製ってことになるのだが、すんなりそこへ落ち着くのも、ちょとつまらないような気がする。

ああ、やる気なし。  2005.10.22

今日は久しぶりに朝日美穂のCDをきく、まだ売っているのかなと思いながらamazonを見ると売っているんですね。僕のおすすめは初期の三枚、APEIRONとオニオンとスリルマーチ。あと、HOLIDAYの最後の曲(マドンナのカバー)はオーディオ好きな人にはおすすめかな。オニオンは僕がジャケットの撮影をした。スリル・マーチも良いアルバムだと思うけど、絶版なのかな。やけに高くなってしまっている。朝日美穂は「単なるかわいらしい声の歌手」みたいに誤解する人もいるけど、それだけではないと思う。

 

僕は、もしいつかKEF105のエッジが破れたら、修理はせず、他のスピーカーにしようと決めていた。KEFをやめるのなら、しばらくはあれこれきいてみるのも悪くないと思っている。貸してもらえるものなら、あまりご縁のないスピーカーとかを試してみるのは実に楽しそうだ。どっちみち僕は、そう高価なスピーカーを買えるわけではないし、あまり大きな物も好きじゃないから、最終的にはそこそこの物に落ち着くと思うけど、仕事をやめて次の就職先がきまるまでの期間、旅行に行くような感じかな。  2005.10.24

ガラードにはオルトフォンのMC3000をつけてみた。TD124だと針圧-0.2gぐらいでも適正針圧になるカートリッジだ。ガラードならあのような問題も起きないのでしばらく使ってみることにした。

僕の友人で5年前の新聞を読み続けている奴がいて、彼は「そのぐらいのタイムラグがあると、かなり真実がわかる」と主張する。僕は、確かにそうかも知れないけど、新聞の場合はそれもちょっとねと思う。オーディオ機器はオルトフォンのMC3000あたりを今きくと、「なるほど、この頃のオルトフォンはこんな音を目指していたのか」ということが理解できる。MC3000が売られていた頃はとてもじゃないが高価で買えなかったし、もし買ったとしても、音のことはよくわからなかっただろうと思う。

まだ詳しくは書けないけど、水面下ではいろいろなことが起きている。でも、今のところアッと驚く大変身的スピーカーがやってくることはないみたい。  

けっこう不思議な偶然が重なって、ロジャースのStudio1aがもう一組やってきた。多分、来月ぐらいにはもう一組のStudio1aも手に入る。それで、昨日からKEFをどかしてStudio1aできいてみているのだが、すごく似た音が出るので、つくづくオーディオってのは部屋の音をきいているのだなと思う。そして、KEFにしろStudio1aにしろ、僕は部屋よりやや小さめのスピーカーを目一杯鳴らしている状態を好んでいる。  2005.10.25

朝スタジオに来て気持よくボッケリーニをきいていると、突然ものすごいノイズが発生。プリパワーのアースが外れた時みたいな連続音で、パワーアンプを切ってみたがサブウーハーからも出る。ということはプリアンプの内部ってことだろう。スピーカーのエッジが破れ、マランツ1号も不調ときた。こういう時は交通事故や病気はもちろん、愛人に刺されるなんてことが起きないように注意しよう。

しょうがないから、マランツ7二号にしようか、それとも伊藤アンプにしようかという、不幸なのか幸福なのか自分でもよくわからない波乱の秋だ。  

マランツ7が突然「ギャー」っていう感じのノイズを出したので、ラックの上の段に置いてある伊藤喜多男プリを使うことにした

午後はマランツ仙人があらわれたが、僕のマランツ一号が直るわけはない。僕が焼いたパンプキンプリンを型から取りだして冷ましていると、仙人は伊藤プリの天板を空けて何かをしていた

その後で、音を出してみるとあら不思議、確実に良くなっているではないか。さっきまで、ちょと剛直な感じもあったのに、今は力強く、しかも、やさしい感じとか、以前はほとんど感じられなかった「かわいらしい感じ」も出てきている。「こりゃいい」マランツ7もいいタイミングで壊れてくれたものだ

そして、大変うまく焼き上がったパンプキンプリンを食し、仙人は満足げな表情でお帰りになり、またしても僕は、玄関で深々と頭を垂れた     2005.10.26

上の写真、よく見るとマランツ7が三台ある。それから、実はロジャースのスピーカーはもう1組あって、今きいているのは先日の物とは別の個体だ。そして、僕が昔自分で使っていたロジャースも戻してもらう交渉が成立したので、さほど遠くない将来やってくる予定。パイオニアのスーパーツィーターは置き場所がないからロジャースの上に置いてあるだけで、接続はしていない。

故伊藤喜多男氏制作のプリアンプ  CRESCENT RA 1501-Aは他の機器との接続が厄介だ。キャノン端子を使ってはいるが、プリ-パワーの出力端子も入力端子も普通のバランスケーブルケーブル(2番ホットでも3番ホットでも)では音は出ないし、だからRCAへの変換も独自の配線がなされた物が必要で、LEMOとかフィッシャーと同程度面倒だ。そういうわけで、入力はPhono1系統、ライン2系統、TAPE1系統で合計4系統あるものの、変換プラグが2セットしかないために、PhonoとCDしか接続が出来ない。あとはケーブルを差し替えなければならない。

PhonoはMCをダイレクトに使うことが出来、それはEMTのカートリッジを想定しているらしい。手持ちの中で最もEMTに近いトーレンスのMCH2でLPをきいていみると、やや重厚な感じだ。CDはこれほど重厚な感じにはならないので、マランツ7のフォノイコとかZYXのフォノイコ経由ならどんな音になるのかなと思うわけだが、それを試すにはいちいちケーブルを差し替えなければならない。あるいはRCAへの変換プラグを作ってもらわなければならない。だからこのままだとちょっとストレスがたまることになる。

KEF105は戯れる会の人が引き取ってくれることになったので、今日の午後さようならだ。ちょっと面倒かも知れないけど、内蔵ウーハーのエッジをセーム革にでもすればずっと使えると思う。8年間ちょと、僕のパートナーとして無理をきいてくれてありがとう。クラシック、JAZZ、ロック、ポップス、ブラジル音楽、CD、LP、モノラルLP、SACD、DVDにBS放送、地上デジタル放送、見本盤からオリジナル盤まで、世界で一番色々なタイプの音楽信号をしかも長時間奏でた105だと思うよ。そして、ものすごく沢山の人にきいてもらいもした。僕が買わなければ、今でもSISの倉庫で眠ったままエッジが劣化していたことだろう。能力をフルに発揮する場を与えられて働くことが出来るのは良いことだ。僕自身もそうありたい。

ロジャースのStudio1aは僕の原点みたいなスピーカーだから、何をきいてもすごくシックリくる。そして、ここ数日は原稿書きをやっているので朝から晩まで鳴らし続けたから、音は確実に良くなってきた。僕はずっとKEF105をStudio1aみたいな音で鳴らしたいと思ってやってきたのだから、本家にはかなわないだろう。同じ範疇の音だと思うけど、Studio1aの方がダイレクト、闊達、反応が早い。KEF105も決して暗く重い音ではなかったが、Studio1aの方が少し明るくて軽い。低音も、やや軽めの低音なのだが、Studio1aの方が強くきこえたりする。それと、ピアノに関しては断然Rogersが良い。僕は元々ピアノが好きなのに、StudioK'sを作ってから、ピアノ曲をきく割合が減っていたのは、スピーカーのからみもあったのかも知れない。ただ、今後僕がRogersのStudio1aをメインのスピーカーにするかどうかはまだわからない。 2005.10.28

RogersのStudio1aは、KEF105よりも少しだけ小さめの音量で最高の良さを味わえる。だからこの路線は平和でよい。そして、Rogersの半透明ポリプロピレンウーハーは見た目の軽さとは裏腹に予想以上の低音を出す。Studio1aが売られていた時代も今も、このスピーカーを特に強く高く評価した評論家は少ないし、売られてもいない現在、好きだの良いだの書いたところで誰も儲からない。でも、この音は僕の原点、基準、中心ということになる。  2005.10.30

故障したマランツ7も修理に出さなければいけないが、どこに出せば良いのかと思って、詳しい人に教えてもらっている。異音が出るようになったのは1号の方で、いっそのことこちらは徹底的に新しい部品に替えまくるという、御田さんが大喜びしそうな路線にしようかとも思ったのだが、やっぱりやめてオリジナル部品を持っているところにお願いしようということになった。どこかにガタガタでズタボロのマランツ7があれば、新しい部品路線も試してみたい。

部屋全体が鳴るような音の出し方をすると、つまり時速150kmぐらいの感じではKEF105に軍配が上がる。でも、時速125kmぐらいまでならRogersの方が7割〜8割の確率で結果が良い。KEF105は僕が最後に乗っていたアコードのUSワゴンみたいなところがあって、Rogersはもっとスポーティだ。だから、ちょっと前までKEFで「こいつは部屋の限界まできてしまった」と思っていたのだが、Rogersだとそのちょっと手前のところで実に小気味よいサウンドになるので、これでいいや、という気持になってしまう。でかい音で音楽をきくことに意味はあるのだろうか? もう少しすると飽きて、やっぱりもっと大音量で楽しみたいということになるのだろうか? わからない。 2005.10.31

Rogersできいていると、少し音量が下がったとは言うものの、絶対的な音量として考えれば充分大きな音である。昨日何を一番伝えたかったのかと言うと、「僕は部屋に対してちょっと小さめのスピーカーを、目一杯歌わせる状態を好んでいる」ということだ。KEFも目一杯、Rogersも目一杯、SoundSticksも目一杯。そこには、傅さんとか和田さんが書いてきている「小型スピーカーが好き」というのとはちょっと違う、僕のスタイルが確実にある。もう一度書くと、部屋に対してちょっと小型のスピーカーを設置して、アンプもスピーカーも全開、能力ギリギリのところで、汗をかきかき歌ってもらって、それをちょっと離れてきくのが山本流だ。こう受け止めて欲しい。

エアコンをかけなくて良いこの季節、音も環境も好ましい状態の中、好きな音楽を一枚づつ丸ごときいてゆく。今日は久しぶりにロバート・ワイアットの「シュリープ」をきいた。StudioK'sを作った年に出たCDで、あの頃よくかけたけど、音は今の方が断然良い。それからこれも久しぶりに「フィガロの結婚のハイライト盤」マリナー指揮、ルチア・ポップが伯爵夫人でアグネス・バルツァがケルビーノ、これもすごく良かった。僕が持っているソフトなんて、なにしろきかないものは全部処分という主義だから、おそらくCDとLP合計で1.000枚以下だと思うけど、それでもけっこう陽の目を見ないソフトというのはあるもので、時々ソフトの棚を全部見てみると、「そうだ、こんなのを持っていたのだった」なんて思うものが出てくる。  2005.11.1

秋葉原のヨドバシカメラに初めて行った。オーディオ売り場の品揃えは驚嘆すべきものを感じた。あんなに大量のカートリッジの展示を見たのは第一電器(だったかな)以来だ。

取材でダイナミックオーディオ5555一番上階ってところに行き、よそでは売っていないというスピーカーの音をきかせてもらった。まあ、ああいう置き方だから大体想像通りの音なんだけど、唯一ベースの音だけ「RogersとかKEFでは出ない音だ」と思った。古いJBLとかアルテックでもあの音は出ない。普通に音楽を楽しむのならRogersで何も不満はなく、それ以上ってことになると同じ路線は面白くない。どんなに音量を上げてもまったく問題のない部屋を手に入れて、超現代的スピーカーを鳴らすということはやってみたい気がした。

でも、それは夢ってやつだから、現実に戻ってギレリスの弾く「テンペスト」と「告別」を楽しむ。この2曲はやっぱりギレリスだな。 2005.11.2

「君に素晴らしい写真撮影の才能と成功、名声をあげると約束しよう」と神様が僕に言ったとする。でも、多分それは辞退するだろう。アラーキーになりたい? それはイヤだ、あれほど裸を愛していない。僕は子供の頃アラーキーの実家の前で遊んでいたし、僕の作品にコメントをもらったこともあるから、多少親近感はあるんだけど、もし彼の生活を僕がやったら一週間ももたないだろう。毎日自分の好きな音楽だけをきいていたいし、適当に忙しくて出来るだけヒマがあって、最低線の生活が出来ればそれでいい。

確か「ばらの騎士」のオーケストラバージョンじゃなくて、ピアノ&ヴォーカル版の楽譜というのが存在するはずだった。そういう物がないと、練習も出来ないからね。ピアノコンチェルトの楽譜にしても、二台のピアノで、一方がオーケストラ部分という楽譜があると思うけど、それのオペラ版ってのがあるはずだ。でも、オペラってのは長いからピアノ&ヴォーカル譜でもかなりの分厚さになる。

楽譜を読めるわけではないのだが、ばらの献呈の場面とか、最後の三重唱の部分を各パートがどんな風に歌っているのかを知りたくて、僕に「ばらの騎士」と「オーヴェルニュの歌」とヤノヴィッツを教えてくれた声楽家の女性に電話をした。

おそらく10年ぶりぐらいの電話だったから、あれこれ話をして、
「で、突然の電話の用はなに?」
「かくかくしかじか」

「オクタヴィアンのパートを歌いたいんでしょ?」
「いや、そんなに大それた願望はなくもないけど、ハミング程度なら、、、」

「全部は必要ないので、あそことあそこだけ、デジカメで撮影させてもらえませんかね」
「いいわよ、元帥夫人のモノローグはどう?」
「いや、そこまでは」

楽譜って、CDとかLPみたいだ。それ自体では音を出さないけど、人によってアートになったり単なる騒音になったりする。  2005.11.4

今夜はStudioK'sで食事をする集まり。今夜の場合、作って食べる人は3人、作らずに食べる人は5人で合計8人、材料費は作らずに食べる人が負担する。で、みんなで映画を一本見ておしまい。今夜はやっと「ヘドウィグ・アンド・アングリー・インチ」を頭からみることが出来る。クソッタレ1インチの歌は合唱する? あとはカツラかぶって記念写真ですかね。

エレキギターはKEFよりRogersの方が良い感じなんだ。だから、やんぐまーぶるじゃいあんつ も多分Rogersの方が良いと思う。   2005.11.5

昨日わかってなるほどと思ったこと、ヘドウィグと一緒に歌ったり暮らしたりしていたひげ面の男「イツハク(だったかな)」は、女だったのだ。女性みたいな声の男だなあと思っていたけど、そうか、そういう複雑な関係だったのか。昨夜それを教えてもらって、あの映画をさらに好きになった。

KEF105との末期はPerpetualTechnologiesのP-1Aを使わずにP-3Aだけできいていたのだが、RogersのStudio1aになったので、今日はP-1Aを使ってみた。P-1Aを通すと滑らかな音になるので、闊達な感じは少し後退するが、弦楽器の柔らかさなんかはP-1Aありの方が良いので、しばらくはP-1Aありでいこうかと思っている。 2005.11.6

他に方法がないから、仕方なく言葉で伝えているけれど、音のことは実際に音をきいてもらわなければお話にならない。だから、僕は戯れる会をやっている。

そして、僕は亡くなった有名オーディオ評論家にはほとんど興味がない。もちろん無価値だとは言わないけれど、僕たちは今、現在を生きているのだから、何十年も前の人が出していた音はきくことができないし、書かれたものにしても、それほど参考にはならない。確かに、僕は古い機器を使っている。でも、マランツ7やLEAKのアンプは、過去の記憶や幻想ではなく、今現在現実目の前にあって、そしてその音に魅力を感じるから使っている。TD124もガラードも、例えばリニアトラッキングのプレーヤーやSACDと同居して、価値があると思うから使っている。機器の話ではない、亡くなって神格化されている評論家の話だ。僕にはそういう人がいない。ベイシーみたいにききに行ける音のことなら、好きでもキライでも目標にするでも尊敬するでも何でもOKだ。でも、音をきかせてもらえなくて著書だけ残っている人のことは、書かれた物に対しての好き嫌いは言えるけれど、音に対しての実感はゼロだ。だから、そういう話が大好きなオーディオ愛好者とはお友達にはなれそうにない。

PowerBook15インチを新しい17インチに買い替えようなんて計画をしていたら、いきなり15インチのHDDが壊れたので修理に出すことになった。仕方がないのでこれからPowerBook17インチを買いに行くつもり。しかし、コンピュータってのは壊れるもんです。特にノートは故障率が高い。 2005.11.7

僕がかつて初めてRogersのStudio1aを買った頃、つまり14〜5年前はラウンドバッフルが流行っていた。国産スピーカーは、そのちょっと前からYAMAHAのNS1000Mを真似たような、黒くてあまり大きくはないエンクロージュアに、30cmウーハーの3Wayで、異常なぐらい重たいスピーカーが主流だった。あれらも、うまく鳴らせばそれなりに良い音はするんだろうと思うけど、自分で使う気にはなれなかった。ラウンドバッフルが絶対に良いということになれば、LS3/5AにしろStudio1aにしろ、サランネットが埋め込まれていて、そのまた中にスピーカーユニットがあるタイプはまるでダメってことになる。RogersStudio1aは20cmウーハーの2Wayで、さほど重くもなかったが、音質は大変良く、この段階でこの音やサウンドステージ感が僕の基準になった。

そして、あの頃から「**だから音が良い」という理屈はとりあえず無視することにした。何もわかっていなかったから、なるべく思いこまないようにしただけだが、「真空管だから音がよい」「ゲルマニウムトランジスタは音がよい」「ベルトドライブは音がよい」そういうやつだ。もちろん傾向はある。真空管OTLの傾向、ボロンカンチレバーならではの音の傾向、そういうのは認めるが、それらがすべてではないし例外も沢山あるし、僕らが知らない製品だって沢山ある。そういうものより大切なものは使う側のイメージだと思う。そして「ああ鳴らしたいとかこうしたいとか、ここをききたいとか、ここが不満とか」というイメージを持つのは人間だから、最終的には人間の方が重要で、イメージはオーディオショップに行っても売っていない。

そのイメージはどこにあるのか? オーディオ雑誌の中にはあるか? 「ありそうだけど、ない」と僕は思っている。言葉や活字の中にはない。だから、もちろん僕のこのサイトの中にもない。あるのは唯一あなたやわたしの心の中だけだ、そこにしかない。

大阪の御田さんは、「イメージ=欲望」と考えてもいい? と言う。僕はそう考えてもらっても差し支えないと答えた。自分にとって好ましい音楽を、好ましい音でききたい欲望、この機器の音や世界を知りたいという欲望、そして、オーディオや音楽を通して自分のことを知りたいという欲望。   2005.11.9

結局僕は「ヘドウィグ・アンド・アングリー・インチ」のDVDも買うことにした。この映画をいつでも見ることができると思うと嬉しい。「ヘドウィグ・アンド・アングリー・インチ」のCDは相変わらずよくきいていて、最初に黒い方のオリジナルキャストCDがきて、その後で映画のサントラが届き、僕は映画の方がいいなと思って、しばらく映画のCDばかりきいていたのだが、ここ数日、あらためてオリジナルキャスト盤をきいてみるとこちらも良い。オリジナルキャスト盤の方がしっとりしていて、微妙に味わいが違うので、今は交互にきいている。

どうしてこんなにはまってしまっているのかというと、もちろん音楽が良いからなんだけど、「ヘドウィグ・アンド・アングリー・インチ」という映画は内容が実に哲学的なのです。それがとても簡単な言葉で表現されているので、すごく気持いいんですね。カエターノの歌詞も哲学的だけど、あちらは難解な分「うさんくさい」側面を兼ね備えてしまう。「カエターノ自身もわかっていないんじゃないだろうか?」なんて思ってニヤニヤしちゃう(もちろん彼はそれを演じきってるし、なんってったって声も歌も最高だからOKで、そこんところが実力ってもんだ、それがないとチンドン屋になる。三波春男や村田英雄はチンドン屋ではない)、ヘドウィグは元々がうさんくさいから、逆に哲学的な側面や哀愁が際だつのだろう。

出してる音がメチャクチャ良かったり、特別な境地に達していれば、オーディオでも哲学を語れるのかもね。

昨日は一日ソニーのAVアンプ+MacでCDをきいていたので、今朝はアンプをマランツ7とSDサウンドに戻した。そして、今日はものすごく好ましい音質で鳴っている。 2005.11.10

昨日の朝日新聞夕刊によると、ヘドウィグのミュージカルが韓国でロングランだとか。ただ、その記事の中に間違った記述があったので、それについてひと言。ヘドウィグはおかまだけどゲイじゃない。おかまとゲイは違うってことをこのライターは理解していない。おかまは「女に生まれたかったが男の身体を持っている人」だから、性転換をすれば女になり、そして男を好きになればそれは異性愛でホモセクシャル(同性愛)ではない。ゲイとかレズビアンは同性愛だから、性転換はしない。男のまま男を、女のまま女を愛しているのが同性愛だ。

僕は新宿のスポーツクラブ「東急スポーツオアシス」で皿まわしのインストラクターをやっていたことがあって、そこでゲイバー「タックスノット」の大塚隆史さんと知り合った。彼はかつてラジオの「スネークマンショー」にも出ていたという人で、本も沢山書いているゲイのオピニオンリーダー的存在だった。大塚さんとは何故か妙に気が合う部分があり、僕は彼のきわめて数少ないゲイではない友人で、「山本さんはノンケにしておくのが惜しい」などと言う。

大塚さんの出版記念パーティとかタックスノットのパーティとか、作品展に出品したパーティに僕も行ったことがあって、何百人ものゲイとレズビアン集団の中に身をおくことがある。念のために書くが、もちろん女装してる人なんか一人もいない(彼らはお遊びで女装もするが、それはおかまの女装とは異なる)。そういう状況にいるのも心細いものだ。こっちもバリアを張っているし、彼らは僕のことなんか相手にしないからいいんだけど、かなり居心地が悪い。でも、ゲイの人の会話とか、ファッションとか、色々なことがわかるので、大塚さんのパーティには女性を伴ったりせず一人で出かけることにしている。そして、そこには外見からはまったくわからない、ごくごく普通の、男を好きな男が沢山いる。

あの映画の元になったオフ・ブロードウエイのミュージカルを最初に受け入れた人たちにゲイの人たちが多くいたことは事実だと思う(セクシャリティということは彼らにとって、とても重要な問題だから)。でも、ヘドウィグはゲイじゃないし、イツハクはレズではない。これを読んだ人はそこのところを正しく理解して下さいね。  2005.11.12

このところあまりLPをきいていない。CDを幅15cmほどガバッとつかんで持ってきて、はじからきくということを繰り返している。スピーカーがRogersになったので、何をきいても新鮮で発見がある。KEFの時よりちょっと音量を下げると丁度良い具合なので、その程度にとどめてきいている。それを一通り終えたら、LPにゆく予定だ。なにしろ今は一番良い季節だから、面倒なことは何も考えず音楽をきいて楽しむ。

戯れる会の人たちで例会に参加してる人にはSACDマルチをきいてきてもらっている。僕はマルチに対して最初は否定的だったが、今は素晴らしいものだと思っている。そして、ソニーがマルチ再生可能なそして納得のいくSACDプレーヤーを出さないことに幻滅している。この上もし、SACDそのものをやめるなんてことになったら幻滅を通り越して怒るだろう。

話はかわるが、SACDって、2chとマルチ5.1chの両方が入るわけだから、一枚の中に単なる2chのCDなら何枚分もおさめられるわけだ。だから、やる気になれば、オペラとかの三枚組のCDだって一枚で楽勝に入るはずなのだ。それをやれば、全集物とかもものすごく少ない枚数で済むはずだ。単に高音質だってだけじゃどうしようもない、大して売れないってことはわかっただろ? 少しはユーザーの利益ってものも考えろよな、と言いたい。

パイオニアとかが出している、安いユニバーサルプレーヤーを買った人がSACDを買ってみて、音が良いことを実感してSACDのソフトを買う人がけっこういる。これも何だかヘンでしょう? ソニーのSACDプレーヤー、映像は再生不能でもいいから、DVDオーディオをきけるようにしてくれたっていいじゃないか。   2005.11.13

SACDマルチの話だ。オーディオベーシック誌にも連載していたし、このサイトでも書いているが、マルチチャンネル再生はとても魅力的な世界だ。だが、一般には普及しておらず、良さを理解している人がほとんどいないのが現状だろう。戯れる会の会員は、僕のところでマルチをきいているわけだが、その耳でショップに行って(どことは書かないが)偶然マルチをきいたりすると、当然ながら「おやおや、なんじゃいこれは」と内心思うことになる、ところが、店員は「どうです、マルチすごいでしょう?」なんて言うわけだから、ハッキリいってどうしようもない。

先日、モアさんがスタジオに遊びに来てくれた時、マルチをおきかせした。彼は古いレビンソンとかマランツがお好きだし、JAZZのオリジナル盤のコレクターだから、マルチとは一番遠いところにいる人だとも言える。僕がRogersStudio1aで初めて鳴らしたマルチをきいて、モアさんはものすごく気に入ってくれた。そのことをモアさんご自身の掲示板に書てくれたのだが、残念ながらと言うか当然というか、彼の掲示板に集まっている人たちの興味はLPの方に向いており、ほとんど反応はなかった。

やっぱり、音は体験してみないとわからないし、音をきかせ合ったことのない人同士が議論してもかみ合わないことが多い。

昨日の午後、撮影をしていると、マランツ仙人があらわれた。彼はテレフンケンのE82CC(普通ECC82とか83っていうものだが、アンプの中にはE82CCって表示してある)とEZ80を持って来て、伊藤喜多男プリアンプの天板を空け、差し替えると言う。それで、僕は撮影を中断し、音の確認のため、まずマランツ7で二枚のCDをかけ、次に伊藤アンプに接続し直して同じCDをかけた。そして、真空管を差し替えてきき比べた。仙人が持ってきてくれた真空管は何種類かあったので、いくつかの順列組み合わせを試し、もっとも良い音が出たところで、大変満足されたようだった。僕がこのところ週に一度作ってレシピを研究中のパンプキンプリンVer.4.0とコーヒーを差し出すと、「大変美味であるが、前回食したVer.3.0の良さもあるので、3.5ぐらいを作ってみられよ」という感想を述べ、僕が撮影に戻ると風のように去っていた。今度はバナナシフォンケーキでお迎えしようかな。

撮影終了後、ヘドウィグ・アンド・アングリー・インチのオリジナルキャスト盤をきいてみると、伊藤アンプの美質である「明瞭で、強くやさしく、非常に安定した音」にさらに磨きがかかったことが確認された。明後日の夜は戯れる会の例会を行うのだが、伊藤アンプがけっこう良いので、このままきいていようかなと思っている。夜は、古い友人から電話があって遊びに来たりして、今日は忙しかったので、食事に出るため靴を履こうとすると、僕の靴がない。どうやらマランツ仙人が間違えて履いて行ったらしい。他人の靴を履いて、気が付かずにいられること自体が常人ではなくさすがに仙人である。 2005.11.15

10月は戯れる会例会がなかったし、11月も12月もゲストをお招きして、オーディオというよりは音楽に重点をおいた例会になるため、オーディオのことでやりたいこと、みんなで確かめ合いたいことが山積の状態だ。それで、年内は毎週水曜日の夜を戯れる会例会にしようかと思っている。けっこう仕事とバッティングすることがあり、仕事を断る羽目になることもあって、平日の夜に戯れる会をやるのはかなりリスキーなのだが、毎週ってことになれば、また別の発想でやれるかも知れないと腹をくくることにした。また、出来るだけ沢山の人にSACDマルチを体験して欲しいと思っているので、戯れる会会員以外の人の参加もOKという日を設定しようかという案もあるが、実施するかどうかとか日時に関しては未定だ。

Shuks さま
今朝見たShuksさんのサイトはなかなか良かった。写真も、全体の構成も自然な、いい感じのフォトエッセイで、楽しませていただきました。
オーディオの話題はまあ、うまく言えませんが、深読みしたりってこともあるので、こちら側が自然体になれません。
ボブ・ディランに関しては僕もほとんど同じ印象をもっています。
僕たちの中にあるディランイメージはザ・バンドのラストワルツに出てくるニール・ヤング的なものなのですが、あの段階で二人を並べるとあれだけ違うのですよね。
最初の衝撃が激しすぎて、僕たちはそこから離れられずにいるようです。日本人だからかも知れません。
とりあえず、長生きはするものです。そのおかげでいろいろわかることもある。   2005.11.16

昨日は色々なことがあった。もちろんオーディオのことでだ。マジメに書けば、きちんと推敲しても3.000字ぐらい書けそうな出来事だった。

さて、それをどこからどう伝えるか。結果から書くと、大変良いことがいくつかあり、これは僕一人では得られない事だったので、協力してくれたり、参加してくれたりした皆さんに感謝したい。

まず伊藤アンプだ、夕方僕がボーっとしていると玄関のチャイムが鳴り、マランツ仙人が立っていた。もちろん手には僕の靴がある。そして、鞄の中から真空管を二本取りだして、伊藤アンプの天板を空けて取り替えた。今まではテレフンケンの球だったが、昨日はGE製だった。マッキントッシュのMC275から抜き取ってきたらしい。この球にしてきいてみると、僕は仰天した。この変化はマランツ仙人だって予想以上のものだったらしく、顔を見合わせて「なんだこりゃ」「なんですかね、この油ののった音は、今まではもっと冷徹だったのに」と叫んでしまった。

だが、残念なことに左右の音量が全然違う。試しに真空管を左右入れ替えてみると音量が入れ替わるので、真空管が片一方ヤレているのだろうということになり、GE製ECC82を求めて秋葉原の街へと下った。夜の7時からは戯れる会例会で、参加者はたった三人なんだけど、せっかくなら最高の音でむかえたい。カッコつけて書くとこんな感じが半分で、ぶっちゃけて言うと「クソー、やつらにこの音きかせててたまげさせてやるぞ」が半分ぐらいだった。人間、ちっとは野心もなけりゃ進歩はない。

水曜定休の真空管屋さんも多かったが、さすがに秋葉原である、目指すGE製ECC82はすぐに見つかり、二本で5.000円だった。僕一人ならこれでおしまいだが流石にマランツ仙人である、
「ムラードもあるの?」
「ありますが、軍用で一本9000円です。82はまだこの値段ですが、AX7は20.000円で、数が少なくなれば今後82も値上がってゆきます」
「では、ムラードも1ペアいだだこう」
足裏の感覚はさておき、僕と違ってマランツ仙人はお金持ちでもあった。

スタジオに戻り、当然、GEから差してみるが、先ほどの音とはほど遠い。と、なればムラードの出番だ。先ほどのGE管とは異なる音だったが、実に上品で余韻のある音になったので、この状態とRogersStudio1aで戯れる会の三人を待つことにした。

最初は伊藤アンプで、その後マランツ7にして、Rogersをきく。みんながどう感じたかは知らないが、ムラードのECC82で、描き出す世界は違うが伊藤アンプはマランツ7に肩を並べたと、僕はそう思った。あとは好みの問題、あるいは組み合わせる機器との問題だろう。どちらにも良さがある。

 

     

そして、これ「千両箱君」がやってきた またの名を「LINN アイソバリック」という

みんなに二階まで上げてもらい、音を出したが、こういう大きくて重いスピーカーは寝起きが悪い。ましてや、しばらく鳴らしていなかったとなればなおさらだ。とりあえず、音を出してみて、30分以上経ってからRogersできいた同じソフトをきてみると、その違いがわかる。ハッキリ言って高級なのだ。RogersStudio1aは「カローラのスペシャルバージョン」みたいな軽快さが最高に良いのだが、アイソバリックはまだ本領を発揮していないとは言え、底知れない何かが潜んでいることが容易に感じ取れる。

まあ、そういうわけで、翌日の木曜日は一日楽しませてもらいました。このぐらい手強い相手だと燃える。一般的に言ってLINNのアイソバリックは慣らしにくいスピーカーの部類に入ると思うが、本気で一日おつき合いするとだいぶなついてくる。まあ、何ヶ月かあればかなりのところまでいきそう、というかすでにかなりのところまできた。 2005.11.18

知らない機器がやって来たときは、それなりの手順というものがある。端子を磨いたり(いっぱいある)、置き方を調整しつつ、僕が楽しめてしかも千両箱君も気持よく歌ってもらえるような、本番前のストレッチング的ソフトをかけてあげる。驚くことに、音が出て一時間後には、弦楽器とかピアノ、それから声なんかはCDから(今までLPでしかきけなかった感じの)複雑なニュアンスの、クラシックが好きな人ならそのまま恍惚状態になるような再生音が得られた。とにかく珍しいタイプと言うか、個性的な音のスピーカーだと思う。好きな人はものすごく好きになるだろう。そういうわけで、何年か前から「密閉型のスピーカー」に興味があったことも手伝ってか、突然オーディオマニアの生活になってしまった。

伊藤アンプのプリアウトは2系統あるのだが、普通とは違うコネクターがないとRCAに変換が出来ない。仕方がないので、平方電気の中村さんに依頼してもう一組作ってもらい、伊藤アンプでもサブウーハーを使えるようにした。プリアンプはすごく音が変わるので、アイソバリックにはさらに異なる信号が送られることになる。多分それは良い刺激だろう。

そして、マランツ7のTAPE OUTを伊藤アンプのAUXに接続して、LPの再生はマランツ7のフォノイコライザーを使ってみることにした。これもかなり良い。

LINNアイソバリックは、予想以上に良く鳴っている。考えられる限りの調整はしているが、なにしろまだ丸二日だ。僕はそんなに敏感なタイプでもなくて、なんとなく毎日ウダウダと鳴らして少しづつ寄せて行くパターンだし、もうしばらく鳴らしていればさらに良くなるだろうと思う。KEFをこの場所で初めてきいた時のひどさはないから、やはり部屋が育っているのだろうと思う。KEF105とアイソバリックの音に共通点を感じたら、それは同じKEF社のユニットが使われていること、そして同じ部屋だから部屋の響きが同じなのだろう。オーディオって、よほどの近接聴取でないかぎり、大半は部屋の音をきいている。  2005.11.18

今日の午後は、音楽評論家の渡辺亨(わたなべとおる)氏をゲストにお迎えして、戯れる会の例会だ。良く鳴っているので、アイソバリックでやるつもり、プリも伊藤アンプでいこうかと思っている。そういうわけで、Rogersの音をきいたのは、今のところ水曜日に参加した人だけだった。 2005.11.19

昨日の戯れる会例会はとても面白かった。午後1時から2時40分ぐらいまではいつもの通り僕のCDや参加者持参のソフトをきき、オーディオの実験を一つだけやり、三時過ぎからは渡辺亨氏が持ってきてくれたCDをきかせてもらった。ソフトも良かったし、お話も面白く、10人ちょっとしか参加者がいないのはもったいないと思った。せめて15〜6人、無理して20人ぐらいが入れればなあ。

渡辺亨さんの言葉で一番印象的だったのは、「今の音楽、2005年の音楽を好きかどうかだ」というものだった。音楽の場合はそうかも知れない。愛すればこそ、往々に 「ジャズは50年代のあれとこれ、ロックはあそこまで」ということになりがちで、音楽ってもうやり尽くされている面もあるから、古いものを越える新しい音楽は少ないのも事実だ。でも、やっぱり新しいものに対するアンテナは張っておきたい。オーディオもそうかなと考えると、どうだろう? すこし違うような気もする。マランツ7は僕にとって2005年のオーディオ機器だった。オーディオ機器は、所有して自分で毎日使ってみないとわからないから。

LINN アイソバリック Isobarik PMS  は1980年ぐらいに作られたものだから、もう25年以上も前のスピーカーだ。ネイムのスピーカーもそうだけど、フリースタンディングではなく、壁に押しつけての設置が前提になっている。僕のところには押しつける壁がないので、設置する場所がない。仮にCDラックを移動して置いたとしてもスクリーンを下ろせなくなる。そういうわけで、KEF105より40cmほど後退はさせているが、壁からはずいぶん離れた場所に置いている。この段階で「本来的な使い方をしていないと罪になる」のであれば、僕にはこのスピーカーを使う資格がない。

昨日の戯れる会例会は11時にスタジオに来て、掃除と片づけをし、午後1時から例会で、終わったのは夜の11時だったから、とても疲れた。ゲストをお招きして話をきくだけでも気をつかうわけだが、持ってきてくれた初めてきく10枚以上のCDをかけて、音量を決めることだけでも大変で、そういうことに気をとられるので、純粋に音楽に没頭が出来ない。それでもやっぱり音が出れば否応なしにきいてしまうわけで、目一杯になってしまうのだろう。まあいい、今年はこのようなことを何度かやってみると決めたのだから、そして、集まってくれた人にはとても好評だったから、やれてよかった。

 

だから、今日は何もしないでスタジオでマラソンを見ていた。高橋尚子の走りには勇気をもらったが、オーディオの悩みが解決するわけではない。  2005.11.20

LINNのアイソバリックできくと、ピアノや弦楽器は驚くほど魅力的だし声もすこぶる良い。爆発的にパワフルというタイプの音ではなく、とても上品(と言ってもナヨナヨしているわけではなく)で、重量感のある音だ。クルマでいうとジャガーっていう感じがする。KEFやRogersとは同じ世界だと思うけど、ソフトによってとてつもなく良かったり(モノラルLPがかなり良い)、逆に「はて?」と思ったり、そのあたりがオーディオの面白いところだ。アイソバリックは、ちょっとわけがあって、12/18までは僕がここでとにかく目一杯、どこまで鳴るか試してみるつもりで、その先は欲しい人がいればお譲りします。古い物なので、それなりにキズはあります。

僕が今使っているPowerMacG5はHDDが250GBで、今のところ170GB以上の空きがある。で、しかもバックアップ用にもう一つHDDを内蔵させたりすると、両方合わせて300GB以上の空きができることになる。あまりいっぱい空きがあっても勿体ないので、手持ちの音楽DVDをHDDにコピーすることにした。HandBrakeというフリーのソフトを使って、一枚のDVDを700MB程度に圧縮して保存すると、DVDの出し入れをせずともQuickTimePlayerで動画を見ることが出来る。いちいち部屋を暗くしてプロジェクターで見るのは面倒だけど、ちょっと見たいなんて時にはとても良い。やってみるとわかるけど、長辺720ピクセル程度でも、さすがに動画だから、G5でもリッピングにはそれなりに時間がかかる。だから、そういうことを仕事でやっている人にとっては、スピードが命なんだろうということがよく理解できる。  2005.11.22 

アイソバリックをこれ以上どう鳴らしたら良いのか毎日考えてはいるが、そうそう名案はなく、機器がよりどりみどりなら状況も少しは(少しだけね)変化するかもしれないが、そういうわけでもないから、別の方法でより良い世界にこぎつけられたらと思って、思いついたことを試してみている。今度は11/30の夜、戯れる会の例会があるので、その時までに「なるほど」と納得してもらえるような音が出るといいんだがなあと考えている。けど、それは絶対OKなんてことはなくて、ダメかも知れない。

例えば、KEFの時と同じようにスーパーツィーターを乗せてみる。僕にとっては超高域が出るとかどうのではなくて、ふわっと広がる感じが欲しいだけだ

統計はとってないが、「スーパーツィーターの追加、あるいは高域の感じ方の個人差」は僕にとっての大事なテーマで、これは研究といっても良いと思う。戯れる会でも繰り返し実験をしてきていて、すでに100人以上の人にきいてもらっているが、サブウーハーの追加に関しては多分95%以上の人が「あった方がよい」と答える

ところが、高域はもう少しバラつく。先日の戯れ会で実験したところ、「なしが良い2人 ありが良い4人 どっちでも良い4人」で、これに僕の意見どっちでも良いを加えると2:4:5になる。それで、渡辺氏のソフトはスーパーツィーターありできいた。途中で、イヤなら外しますと提案したが、まるで耐えられないという人はいなかった

先日の戯れる会にはそういう人はいなかったが、高域に敏感な人がいて(戯れる会の会員にも一人いる)、ある人だけやけに高域の部分にこだわったりすることがある。僕自身は正直よくわからないので、どっちでも良い。どっちでも良いなら無くてもいいだろうとも思うけど、効果もあるかも知れないので、時々つけたり外したりしてみるつもり

人によって感じ方や好みはマチマチだ。先日の例会でも「アイソバリックでの音はStudioK'sできいた中で過去最高だ」という人もいるし、多分「KEFの方が良かった」という人もいることだろう。僕はKEF105を8年間使ったわけで、GOLDMUNDのパワーアンプ時代の音も良さがあったし、KENWOODのプレーヤーでのソリッドな音も悪くなかったと思う。ただ、総合的に考えると、トーレンスTD124、ガラード401、マランツ7+SDサウンド、そしてソニーのSACDプレーヤーにP-1AとP-3A、D.Cube、そしてSolidTechのラックという今の状態が最も良かったと思っている。

アイソバリックでの音が最高だというのは、多分その方の好みにアイソバリックの音が合致したのだろう。新しい奥さん美人ですね、って言われたみたいな気持だ。僕としてはもう少しアイソバリックとの関係を深めたいと考えている。部屋もそれなりには出来ているから、もちろんよく鳴ってはいるが、まだ本当に歌っていない感じがする。戯れる会の例会ではある程度音量を上げるから、多少誤魔化せる面もあるが、普段普通の音量できいていて今ひとつシックリ来ない部分がある。露光済みの印画紙を現像液に入れて、30秒か40秒で一応像が出てきて、露光時間はそう間違ってはいないけれど、黒い部分が完全に黒くなりきっていない、あるいは少しムラがあるような、まだそんな感じなのだ。だからあと少し時間がかかりそう。

こんなものが届いたので、親子亀みたいにアイソバリックの上に乗せて音をきいてみた

なるほど、僕のところは広いからLS3/5Aだとちょっときついのだが、5/9ならなんとかなるということがわかった

もう少し「一筋縄ではいかない度」が高いかなと思っていたのだが、親亀君に比べればかなり楽、楽勝と言っても良いかも知れない。もちろんRogersはアンプを選ぶから、国産のプリメインアンプとかだとちょっと辛いかも知れない。そして、5/9は高価なスピーカーだったから、出回っている数も少なくて、手に入れにくいと思う

そんなわけで、ちょっと息抜きをさせてもらってます  

一日きくとRogersの音はだいたいわかったので、再びスピーカーをアイソバリックに戻し、ありったけのバナナプラグをかき集め、SDサウンドのアイワンからスピーカーケーブルを三本出してネットワークに直接接続した。AETのGAIAとMITとAETの安くて(1m600円ぐらいの)白いケーブルを出して、ウーハー・スコーカー・ツィーターに差し、適当に入れ替えて音をきいてみている。面倒なのでパイオニアのPT-R9は外した。そして、出かけるときはサブウーハーのスイッチを切ってマーカス・ミラーのシルバー・レインをリピート再生する。まあ、こんなことをやってみているわけだ。とにかく概して高級機器は時間がかかる。

パンダの親子はなかなかかわいい。これにはまいる。

今日の午後はオーディオベーシック誌編集部に行って、自分が担当しているページの校正をしてきた。何年も前からずっと自分で校正をやってきているのだが、他にも沢山執筆者はいるけれど、こんなことをやっているのは多分僕一人だろうなあと思う。    2005.11.25

そして、ついに「アイソバリックと理解しあい始めている」そんな感じになってきた。10日間真剣におつきあいしてみて、途中ずっと「こりゃ、ダメかもなあ」と思っていたのだが、ついにほほえんでくれるようになった。よく広がる音場が出始めた、そして、サブウーハーなし、マランツ7とSDサウンドのアイワンで部屋が揺れる低音が出る。アイソバリックは4オームで87dB、アイワンのパワーは50W程度、真空管OTLアンプだから4オームだと出力は半分ぐらいに換算しなくてはならず、常識的には大変厳しい条件だから、誰も(僕も)こんな音が出るとは想像だにしていなかったと思うのだが、オーディオってのは面白いものだ。なんで、こんな機器でこんな音が出るんだろう? 誰も欲しい人いないみたいだし、ここまで良く鳴ってくれるのなら僕が使うしかないかな。ウーム。

どうも、僕はSPUとは相性が悪かったというのは、以前85アニバーサリーを貸してもらった時に書いた。ちゃんと使って、良さを引き出してみたいとは思っていて、今年の春、あるお宅からSPU Goldを頂戴した。ちょっと由緒あるGoldだったし、期待したのだが、残念なことに音が出なかった

ご近所のオルトフォンジャパンの社長さんにその話をしたら、直してくれた。ただし、中身総取り替えで、GoldじゃなくてReferenceになっているらしい

最初のうちは音がイマイチで、しかもスピーカーがアイソバリックだから、どっちが悪いのかもよくわからない状態だったが、めげずにLPをかけ続けたので、今日は大変魅力的なサウンドを体験できるようになった。やはり、オーディオ機器はガンガン使ってあげないと良い音は出ない

WOWOWで録画した「珈琲時光」という映画をみたが、25分でダウン。途中でイライラして身体が痒くなった。逆のパターンで15分しかもたなかったのが「ムーラン・ルージュ」で、こちらは画面の切り替えが早すぎてダウン。早くても遅くてもダメらしい。浅野忠信が出てくる映画は妙なのが多い、「茶の味」「地球で最後の二人」だったかな。あと、題名を忘れたけど、奥さんを殺しては埋めるやつ、これは小泉今日子が笑えた。Shuks氏絶対おすすめの「赤目四十八瀧心中未遂」はすごく期待したけど、もう一歩って感じだった。途中までかなり思わせぶりだったから、最後にもっとすごい展開があるのかと期待したけど、そうでもなくて、残念。瀧のところを歩く場面、暗い画面に白い衣装はちょっとキレイだったけど、あのぐらい白くないと露出不足になるし(あれでも実は少しアンダー気味だ、なんて考えるからイカン)、あの場面はコントラスト比が高くないと楽しめないかも。三菱の2010だと、ギリギリって感じがする。大楠道代は相変わらず素敵で、どうせわけがわからないのなら、鈴木清順の「ツィゴイネル・ワイゼン」とか「陽炎座」の方が好みに合うみたいだった。

パンダの親子、昨夜は遊んでいたけど、今朝は眠っていた。

そして、歌い始めたアイソバリックは僕を魅了する。だけど、もしアイソバリック導入ってことになると、いくつかレイアウト変更を余儀なくされる。このところオーディオいじりもやることがなくなって困っていたからそれも新鮮で良いのかも知れない。   2005.11.27

 

スーパーツィーターもサブウーハーも外している。床においてあるCDで高く積み上げていないものは、試聴しているもので、まあ、これだけあれもこれもときいてみたくさせるだけでもすごいことです

SDサウンドのアイワンにとって、アイソバリックは、かなりきわどく辛いのだが、この状態で(サブウーハーがなければ出ないような)重低音が出て、ビヨークのホモジェニックでは壁がビシビシいう。同じSDサウンドのOTLアンプでも、6C33Cのi-3ならもう少し余裕かも知れない

もっと奥まで壁に押しつけてもみたが、それはあまり良くなかった。そのあたりのことは水曜日夜の戯れる会で証明しようと思っている。やっぱり音はきかなきゃわからないから、いくらこれを読んで想像してもらっても、本当のところはわかってもらえない

そっぽ向いていた人がニッコリ笑うみたいに、良い感じになる瞬間やポイントってのがあって、それはいつどう出てくるかがわからないから、信じる心であれこれやってみた方が良い。力まかせに物量だけを投入してもダメだし、アクセサリーに頼ってもそれはアクセサリーの音になるだけだ

 

マランツ7一号の修理が完了し、音をきき始めた

このコンデンサーが交換されたそうだ。音は随分変わったのだが、まだ何とも言えない。良いところもあるし、意外な感じもする。とにかく音が太く、力強い感じになったと思うが、多分一週間ぐらいは音が変化しそうな気がするので、あまり早急にどうこういうのはやめて、とにかく鳴らしてあげるしかないと思っている

SDサウンドi-1がi-3になったかと思うような、安定感と太さ、力感なのだ。正直、なんでこんなに音が変化するのか、よくわからん。だが、現実を受け入れるしかない。なにしろ40年前に製造された物で、それの一部のみ交換したのだから、マランツ7自身も驚いているに違いない

LINNのアイソバリックは、僕が譲ってもらい、使うことにした。得体の知れない部分を多く持つスピーカーなので、泣いたり笑ったりする日々になるのかも知れない。英国サウンドということで似た音調ではあるが、ずっと使ってきたKEFやRogersとは大きく世界が違うと思う。だから、アイソバリックとの付き合いに疲れたらRogersのStudio1aできけばいいやと思っている。Studio1aの方が素直でダイレクトだから、戯れる会例会での試みや実験などはStudio1aで行った方が良いのかも知れない。

まだよくわかってはいないのだが、アイソバリックできく声楽は格別のものがある。全体的に「含みのある表現」をする(つまり素直でダイレクトじゃないわけね)ので、CDなのにLPをきいているような感じがする。このあたりはCD12とも共通していて、僕もけっこう長時間CD12を使わせてもらったので「ああ、これ、この感じ」と思う。密度感重視の空間感も共通している。 2005.11.29

昨日の夜、パンダの親子の様子を見ると、親は笹の葉っぱを沢山持ってきて食べたり、ダッコしたり、あるいは子供パンダだけがゴロゴロしていたり、すごくかわいいので、一日に何回かは見入ってしまう。インターネットってのはすごい。時刻の表示をもう少し小さくしてくれればさらに良い。

今夜は「音と戯れる会の平日夜バージョン」なので、「アイソバリックのセッティングと、どのような部分を楽しむか」をやるつもり。オーディオ機器だけじゃなくて写真用品もあれこれ移動しなければならないので、掃除をしたりサイズを測ったり、音を確かめたりしている。SACDのソフトもなんだかんだで100枚ぐらいはあるから、専用の置き場所を考えなければいけない。だから、StudioK'sに来慣れている人にとっては、ちょっと風景が変化していると感じるだろう。 

もう2週間ずっとアイソバリックをきいているので、今夜が終わったらRogersを出してきてしばらくStudio1aにしてみようと思っている。 2005.11.30

久しぶりにRogersをきこうかと思ったのだが、アイソバリックのことでいくつか試したくなったので、Rogersは順延にした。昨夜の戯れる会には三人が参加して、そのうちのお二人は先日渡辺亨さんの講演の時も参加していたので、アイソバリックの変貌ぶりに驚いてくれた。僕も驚いているんだから、それはそうだろう。

アイソバリックPMSには専用の台があって、これはスタンド兼ネットワークの格納場所になっている。珍しい、密閉型+外部ネットワークというスピーカーは、僕の知っている限りで他にももう一つあって、それはAVALONのアセントIIだ。そして、アイソバリックの専用台には上向きのスパイクが付いていて、本体には凹みをもった小さなスパイク受けがある(サイズの小さなナットらしい。僕はスパイク受けをあまり好まないのと、移動するのに外れそうで恐かったこと、持ってきた当初音がビリついたという理由から、黒檀のキューブをはさんでスパイクを浮かしていた。とりあえず最初は「まるめこむ路線」でやってみたのだ。

   

昨日の夕方、そろそろ音や置き場所も安定してきたので試しに黒檀のキューブを取り外してみると、これはなかなかすごい変化だった。ベースの歯切れが良いし、音も広がるので、メーカーの指定を尊重して、まるめこみ路線をやめ、スパイク受けでゆくことにした。やさしくうつくしくつややかな音を求めているけれど、同時に「来る音」でもなければ満足など出来ない。近隣への迷惑を考慮しなければ、アイソバリックの重量感に富む低音は大いなる快感だ。昨日までは、高域AET GAIA 中域 MIT 低域AETの安いケーブルだったが、動かすと接続が外れたりして面倒なので今日はAETの600円/mケーブルだけにしてみた。音はそんなに悪いってわけでもなく、かえってスッキリして好感が持てる音でもある。だから、オーディオは面白い。 

試みに、LINNのクライマックスコントロールとクライマックスTWIN(チャクラ改)でアイソバリックを鳴らしてみると、音楽マニアが好みそうな心地よい音になった。なるほどと一人納得する師走の夕方である。   2005.12.1

もう12月だ、今年は色々なことが起きた。一ヶ月かけて、今年のことを振り返ってみようと思う。2005年は色々なことがあったので、正月のことはもう何年も前のことのような気がする。

今年の記憶に残る出来事 その1
2005年になって最初の驚きはマランツ7だった。40年も前の製品だが音はまったく古さを感じさせないもので、もし、マランツ7が古めかしく鳴っていたらそれは使う人の好みやイメージが古いのだろう。マランツ7以降の有名プリアンプがみんなマランツ7を目標にしたというのはよくきく話だが、納得した。

ステレオサウンド誌に執筆していた評論家の先生で、ずっとマランツ7を使っていた人がいた。アンプにしろCDプレーヤーにしろオーディオ機器はどんどん進歩しているわけだから、僕は新しい機器の方が良いに決まっていると思っていて(だって、雑誌にはそう書いてあるんだもん)、ずっと「いくらなんでもマランツ7は古すぎだよ、ヘンな人だなあ」と思っていた。宇野巧芳氏もずっとマランツ7を愛用しているのは知っていたが、音楽評論家はオーディオマニアじゃないわけだし、これは別だと思っていた。

だから、今年の一月は天国の長島達夫氏に「失礼しました、わかってないのは私の方でした。笑ってお許し下さい」と手を合わせた。今年一番の総括として、もう一度合掌したい。  2005.12.2

マランツ7は自分のの家という感じがする。だから、クライマックスコントロールが来ようが、チェロのスィートが来ようが無関係、マランツ7に対する気持は変わらない。多少気分屋で、機嫌が悪いとノイズを出したり、ボリュームの位置によって左右のバランスがくずれたり、いろいろあるけど、自分の家は古いからあちこちガタもきているさ、そんなのはしょうがない。

左右のアームを入れ替えた。よく考えてガラード401を選択したし、けっこう考えてキャビネットを作ったから、アームの入れ替えは15分程度で可能、ゆっくりやっても30分かからない

まあ、色々やってみているが、音のことは一朝一夕にはいかない。  2005.12.3

まいったな、あれこれやっているうちに昨日までの音がどこか行ってしまった。アイソバリックはなかなか手強い。

昨夜はみんなで映画をみたので、久しぶりににRogersStudio1aを出した。それで、ソニーのAVアンプにする前にマランツ7+クライマックスTWINでRogersを鳴らしてみると、これが良い。適当に置いただけなのに、涙が出るほど良く鳴る。あ〜あ。

昔、タンノイのIIILZを当時愛用してたGOLDMUNDのパワーアンプで鳴らして、全然ダメだったことがある。あれは、とても寂しい音で情けなくなった。MITのケーブルをつけようが、何をしようがダメで、ここにやや特殊な真空管アンプを使うと、これは素晴らしい世界だった。そっちの真空管アンプを基準にした世界からみれば、現代ハイエンドが特殊ってことになるわけだから、どっちが正しいとか間違っているということではない。

タンノイIIILZほどじゃないけど、アイソバリックは今までやってきている僕の路線や経験を無視するようなところがある。だから、「じゃあ、ちゃんと言うこときくようになるまで遊ばしてもらうよ」と思っている。力を入れたつもりでも全然動かなかったり、逆効果だったり、なかなか面白い反応を見せてくれる。

RogersStudio1aは確かに良く鳴るけれど、この世界はずっとやってきて良くわかっているし、さらなる発展は多分ない。なかなか言うことをきいてくれなくてちょっと苦労してはいるが、僕は今回Rogersをきいてみて「けっこうLINNの濃くて暖かい音を好きになってきている」ということがわかった。付き合う相手が見つかったのは良いのだけれど、問題は「アイソバリックを理想的に鳴らすと、この建物の限界をすぐに超えてしまう」ことだ。KEF105は丁度良いスピーカーだったなと、今更ながら思う。   2005.12.5

LS3/5Aとか、Studio1aだと、バイアンプにしようなんてことは考えないのだが、相手がアイソバリックだと、そういう欲望がムクムクしてくる。なんて、書いているときは大体もうやってみてるんですけどね。

そんなわけで、バイアンプにしてみて昨日はもう6年ぶりぐらいでマーラーのシンフォニーをきいてしまいましたね。アイソバリックだとどんな風なのか知りたかったわけで、きいてみるとやっぱり僕はマーラーには夢中になれないのだが、一応きいてみようかなんて思わせるところがすごいものだ。

で、まあ、いろいろな機器を試してみたものの、結局元の組み合わせに戻って、しかもけっこう良く鳴るのがオーディオの妙である

真ん中の小型プリメインアンプもかなり良い結果だった

実は、ある程度予想を立ててやってきているのだが、最初マランツ7とSDサウンドアイワンで鳴らした時の音と、今、三種類のアンプやバイアンプ状態でしばらく鳴らした後、再びマランツ7+アイワンで得られる音は確実に変化している。アイソバリック君はハイエンド機器という社会で少しもまれたから、マランツ7とアイワン(我が家)の有り難みがわかってきたらしい、うーむ、この話は来春就職するうちの娘や息子に向けて書いているような気がしてきたぞ   2005.12.6

上の写真の状態から、アイワンが乗っている中段の棚を10cmほど下に下げて(自由な位置で止まるのだが、それだけに微調整が面倒)、アイソバリックのサウンドは確実に一歩前進したようだ。今までずっと、LPの音が今ひとつだったのだが、この状態にしてみたらこれはなかなか魅力的な音に変化した。TD124もガラードも同時に良くなったので、多分プリアンプの置き方によるものだと思う。パワーアンプってのはけっこうノイズ源になっているので、プリとの距離やトランス及びヘッドアンプとの位置関係、アースの取り方などはかなり×10きびしくきわどい。

 今回の進展はかなり大きなもので、もしこれがプリアンプの置き方によるものだとしたら、プリアンプは上の段(ここはフローティングではない)に固定して、もう一度全ての組み合わせを試してみなければならない。気に入った音を手に入れるという行為は、先になにがあるのかわからない真っ暗闇の中を、手探りで進んで行くようなもので、手間ヒマがかかる。

KEF105やRogersはプリアンプの置き方でこんなに音が変化することはなかった。それとも、アイワンを真ん中のラックに持ってきたことによるものなのか、理由はわからないがとにかく今までで一番良い感じになったのは確かなので、アイワンをこの場所に固定して、プリアンプは中央最上段でしばらくあれこれ組み合わせてみるつもりだ。しかし、アイソバリックがやってきたのは11月16日だったから、今日で三週間、考えられ得るあるゆる手段を講じ、すでに200時間近く鳴らしていると思う。こんな風にスピーカーと格闘したのは初めてだ。 2005.12.7

今日は12/8だから、ジョン・レノンのCDをかける。僕らの世代が幸せかどうかはわからないけど、とにかく色々な音楽やメディアに接することの出来た世代だと思う。

そろそろ、新しいオーディオベーシック誌が書店に並ぶ頃かな。仕事はみんな楽しいけど、LS3/5Aの4種類まとめて試聴は特別楽しく、ある種のプレッシャーもあり、神経をつかい、そして結果はとても満足のいく、企画者としてやりがいのあるものだった。

パワーアンプはSDサウンドのまま、プリをクライマックスコントロールにしてみると、これもなかなか良い。ただ、フォノイコライザーがないので、そのままではLPをきくことが出来ない。非常にスッキリした感じと暖かみが両立した良い感じのサウンドなのだが、トーンコントロールがないので低音がやや薄くなる。マルチアンプなら高中低音の音量を各々調整出来るけれど、シングルアンプではそうもいかないので、サブウーハーをつけてみた。サブウーハー否定派からは「バカめまたそんなことをやって」と言われそうだが、KEFの時(47Hz)より二目盛り高い60Hz付近から使ってみていて、これはすごく良い。  2005.12.8

マランツ7をフォノイコライザーとして使うという手もあるのだが、今、戯れる会会員のお宅を巡回しているZYXのフォノイコライザーがあと一週間ほどで戻ってくるので、プリはこのままにして、ZYXの戻りを待ってみようかと思っている。ZYXのフォノイコライザーは切り替えで2系統使えるから、入力が4系統(うち1系統はバランス入力)のクライマックスコントロールでも、Phono×2系統、CD、SACD、SACDマルチという風に使うことが出来る。

理由は知らねど音は良い。昨日久しぶりにヘザ・ノヴァとダコタ・スィートをきいたらけっこうイメージ通りに鳴ってくれたので、きょうはそろそろ「ばらの騎士」でもきいちゃろか。でもクライマックスコントロールだとCDしかきけない。

マジメな話、アイソバリックがやってきてからというもの、僕はプロジェクターの電源を一回しか入れていない。

千両箱君のユニット構成はこんな風になっている

スコーカーはKEFのB110(つまりLS3/5Aのウーハーと同じユニット)で、天板部分にも同じユニットが並列についていて、近くに寄ると上からもかなり盛大に音がきこえる。そして、中身を見たことはないが、ウーハーはタンデムで、中に同じユニットがもう一つ入っている

上にもユニットが付いている、ある種の音場型のスピーカーだから、さぞかし広がってきこえるのかと思うと、高さが出ない。例えば、Macで使っているSoundSticksを床に置いて音を出してみると、驚くほど高いところから音がきこえるのだが、アイソバリックから高さを出すのはなかなか難しい

基本的に重厚で含みのある音だから、アコースティックなソースはCDでもLP的な音がするし、ロックのベースとかバスドラは密閉型スピーカーならではの重量感があって、これに慣れるとバスレフの音は「軽く、弾みすぎて」違和感を感じるようになる

放っておけば、重く渋く暗い音なわけだから、僕が良くなったと感じるのはもっぱら、明るく快活、軽やかで透明な空気感を引き出せた時だ。一方でひたすら鳴らし込みを行いつつ、スピーカーケーブル、置き場所、アンプ類の設置方、SolidTech柱部分のダンピング材の調整などなどなど、考えられるあらゆることをやってみた結果、最初とは比べられないほど音は広がるようになり、明確な定位感と音像を感じ取れるようになってきた

KEF B110の下を切ってスコーカーとして使っていて、そして密閉だから、LS3/5Aの拡大版的な音が出ても良いはずで、それは僕の理想とするスピーカーになるはずだが、アイソバリックはなかなかのモンスターだ。最初はなにをやっても同じ音しか出ないって感じだったが、最近やっと色々な表情を見せるようになってきた。

プリをクライマックスコントロールにしたので、マランツの端子磨きを行った。写真ではわかりにくいけど、Phono1&2を磨いたので、実物はピカピカだ

コンパウンドは持っていないので、どうしようかなとちょっと考えて、包丁を研いだ時に砥石が削れて出るベタベタの物(ノロ)を布に付けて磨いてみたが、これはとてもうまくいった。コンパウンドって多分そういう物(砥石の粉)でできているのだろう

  2005.12.9

アイソバリックを最高に鳴らすには、マルチアンプが正統的手段だろう。ネットワークを使わずにチャンネルディバイダーを使って、パワーアンプ三台で鳴らすのが理想というか、もっとも大がかりな鳴らし方だ。僕個人の理想を言うと、マルチアンプも試してみたいけど、最終的に大がかりなのはゴメンだし、巨大なパワーアンプもゴメンなさいだ。デジタルアンプでマルチなんていうのも試してみる価値はあるかも。

12/18(日)は今年最後の戯れる会例会だ。今月も先月に続いての音楽路線で、LINNの古川氏をお招きして「現代音楽」をレクチャーしていただく予定だ。リン古さんと言えば現代音楽のオーソリティだから、とても楽しみにしている。で、実を言うと、その日だけでも元LINNのフラグシップスピーカーであるアイソバリックでお迎えするのもいいねってことで、僕のところにアイソバリックがやってきたとも言えるのだった。そして、アイソバリックは僕が自分で使うことにしたので、この際だからLINNのアンプで鳴らそうという考えも浮上して、クライマックスコントロールとクライマックスTWINを貸してもらっているというわけだ。この話をすると、ダイナの厚木さんは「山本さん、いっそのことCD12でいきましょうよ」と、もし店に空いているCD12があれば持ってきそうなことを言う。まあ、こうやって皆さんに助けていただいたり、参加というかたちで協力してもらって僕のオーディオ生活が成り立っている。

12/18の戯れる会例会は参加者がジャスト10人で、僕としてはあと二人ほど参加者が増えてくれたらなと思っているのだが、皆さん年の瀬は予定がつまっているらしい。限定2名様で「非会員でStudioK'sに一度も来たことのない人」の参加を呼びかけようかどうしようかと、迷っている。 2005.12.11

昔からRogersやKEFが好きだったし、古い小型プリメインアンプも大変魅力的だし、僕は英国的オーディオを好んでいるということが良くわかった2005年だった。アメリカ製ではあるが、マランツ7はアメリカ的な音ではないと思う。

一月に一回の例会だと変化が大きすぎて、積み重ねていることや過程がわかってもらえないので、オーディオに興味がある人のために、水曜日の夜はずっと平日版戯れる会例会をやっている。次回12/14の夜はマランツ7+クライマックスTWINの音、プリをLINNクライマックスにしてみた音、そして、LEAKでもFerrographでもない、Armstrongという英国製小型プリメインアンプでアイソバリックを鳴らすとどうなるのか、なんてことをやってみようかと思っている。  2005.12.12

さすがに4週間を経過すると、アイソバリックのことがだんだんわかってきた。頑固なタイプだから、相手にとって不足はなく、このような世界を強烈に好む人も確実に存在すると思う。僕にとって、音の深みや陰影はとても重要な要素で、アイソバリックはその面ではよく応えてくれるのだが、鳴り方というか、表現してくるものは僕が今まで求めていたものとはかなり違っている。アイソバリックは、歌なら歌を前面に押し出してくるし、ソフトの中の主従みたいなものを強く描き分けるところがCD12と見事に共通していて大変興味深い。同じLINNのスピーカーでも、現フラグシップのコムリや、この秋に発売された「ARTICULAT」シリーズはアイソバリックほど独自の世界ではなく、RogersとかB&Wの世界に入るものだ。

最近、自分の中に二つの価値観があることを認識した。KEF・Rogers的路線=サウンドステージ追求型オーディオから見るとアイソバリックはかなりデフォルメされた世界を提示する。例えば大好きなヤノヴィッツが歌うシューベルトの歌曲をRogersで再生すると、部屋の中に小さなホールが出現してその中で歌うのだが、アイソバリックで再生すると僕の部屋にヤノヴィッツが来て、この部屋の中で歌っているような鳴り方をする。どちらにしたって再生音楽は幻で、幻であるがゆえに何度も繰り返し再生可能だし、幻ではあるが装置やセッティングを変えれば変化し、どれが正しいというものでもない。

どうしてもどちらか一つを選択せよということになれば、僕は当然Rogers・KEF路線だ。だから、このアイソバリックを是非譲って欲しいという人がいれば、僕が約一ヶ月間毎日使って考えて試した成果と共にお譲りするだろう。昨日は朝からRogersをCELLOのスィート+SDサウンドで鳴らしていた。これはもうサウンドステージの極みみたいな鳴り方をして、絶句なのであるが、夜になって12/14の戯れる会例会のためにRogersを片づけてアイソバリックにした。そして、いつもかけているコステロとフォン・オッターのCD ABBAの「Like An Angel Passing Through My Room」とか、ラムチョップをきいてみると、何故かとても心地よい。どうも僕はそのどちらをも好んでいるみたいなのだ。  2005.12.13

僕はできるだけニュートラルな立場や姿勢でオーディオに接したり、楽しんだりしたいと思っている。そして、写真を撮って、あるいは写真撮影という行為を売る才能は今ある程度でいいから、音楽を楽しんだり、好きなオーディオのことが色々わかったり、料理を作れたり、色んな人たちと出会えたりできるのが良いと思っている。

太くて高価なケーブルは、細くて1m数百円のケーブルより絶対的に良いのだろうか? 新しい機器は古い機器より常に進歩しているのか? 復刻版とオリジナル機はどう違うのか? 一枚何万円とか何十万円もするオリジナル盤のLPは本当にそれだけの価値があるのか? ないのか、ワイドレンジであることは良いことなのかどうか。心地よい状態は人それぞれだし、価値観もさまざまだけど、試したり比べたりしない状態で「ダメに決まっている」と言い切ることは出来ないし、自分の好みだけがすべてではない。

それにしても、Rogersからアイソバリックに戻すと実に問答無用な音で、僕は「オーディオってめんどくさいから普段はこちらできいてようかなあ」とマジメに思ってしまうのだった。   2005.12.15

SACDマルチのことやフォノイコライザーのことなどで、いくつか試したいことがあるけれど、今日は何もやらないことにしよう。音が出ないわけじゃないし、金メダルをもらえるわけじゃないんだからそんなに突っ走る必要もない。衛星放送を録画して放ってある映像も見たいし、オーディオのことは疲れたから今日は休むことにしよう。  2005.12.16

今年の記憶に残る出来事 その2 
5月にある人からSolidTechのオーディオラックを二つ頂戴した。高さ90cmだったので、左のラックは30cm、真ん中は20cm金ノコで切断した。TAOCから取り替えてみると、驚くほど音が変化し、とらえどころがないほど拡散してきこえるので、柱の部分に猫砂や樹脂製の米粒のような物を入れると凝縮した音に変化した。状態に応じて掃除機で吸い取ったりしながら音を調整している。中間の棚板はバネによる吊り下げ式のフローティングにもなるのだが、僕は浮かすより固定した音を好んでいる。

昨日からアイソバリックにはソニーのAVアンプをつないでみて、MacのCDドライブとかiTunesで音楽をきいている。ソニーのAVアンプだとかなり柔らかな音になるが、別の刺激を与えるのも良いのではないかと思って、夜中もずっとiTunesで音を出しておいた。そんなこんなで、今日は宝くじを買いに出かけることにする。 2005.12.17

こうしてあれこれ苦労していると、KEF105は良いスピーカーだったなと思う。Rogersはもちろん良いけど、この部屋だとあとほんの少しってところでちょっと限界を感じる。この限界がRogersの良さだとも言えて、鳴らしやすい部分でもある。そして、アイソバリックはひたすら独自の路線を歩み続けている。

いやいや、限界は機器ではなく自分の中にあるのだろう、本当はRogersの限界はもっともっと高いところにあり、アイソバリックもまだまだ別の面を沢山持っていて、今の僕にはそれを見せてくれていないだけなのだ。KEFは8年以上使ってきたのだし、このところ多少高密度にきいたからと言って、あるいは色々な機器を取り替えて音を出し続けたとしても、たった数ヶ月でわかったようなことを言ったり書いたりするのは良くない。 

さて、今日の午後はLINNの古川氏をお招きしての戯れる会例会だ。いろいろ考えたり試したりした結果、今日はRogersでいくことにした。そして、巡回から戻ったZYXのフォノイコライザーがとても良いので、これを使って、アンプはLINNのクライマックスコントロールとクライマックスTWINで臨むことにして、昨日、現段階でのベストを尽くしたセッティングにした。色々組み合わせて試した結果、RogersにはLINNのクライマックスコンビが一番良いという結論に達した。このところアイソバリックの相手をしてはいたが、RogersStudio1aをどう鳴らすのが一番良いのかもずっと考え続けていた。

考えに考えて、試しに試した結果、このような状態になった

ケーブルが届かなかったり、棚板の高さを変更したり、けっこう手間取って、配置変更だけで約3時間かかった。そのかわり、アイソバリックとRogers Studio1aどちらも現状ではベストの音、そしてSACDマルチも配線変更なしで再生OKになった。ちょっと大変だったけど、今日はみんなも来るしね

でも、あと15年も経ったら、こんなことは肉体的に限界かも知れない    2005.12.18

昨日の戯れる会例会、前半は参加者が持ってきたソフトをRogersできいたり、アイソバリックできいたりして、すごく面白かった。Rogersが圧倒的に良いソフトもあるし、どっちも良いという物もあるし、アイソバリックだととても良くて、Rogersだと今ひとつパッとしないソフトもなんていうのもあって、最初から参加してくれたリン古さんも楽しんでくれていたようだった

LINNクライマックスコンビ+Rogers Studio1aの組合わせは一番最後に試してみたのだが、結果的にはこれが一番良かった。僕にとってこのLINNコンビは「良くても当たり前、悪くても当たり前」みたいな感じがあって、Rogersで試すのは後回しになっていたのだが、これが実に良かった。おかげでアイソバリックにはマランツ7とアイワンをつないで、両方とも音を出せる状態にできたので、みんなにも音と言うか、世界の違いを理解してもらえて良かった。

リン古さんの現代音楽講座もすごく良かった。現代音楽はオーディオ的にも楽しいものが多く、また説明も的確でとても良い時間を過ごすことが出来た。リン古さんは、現代音楽はもちろん、音楽全般に大変明るい方で、いつかまたゲストにお招きしたい。終わった後「なかなか、こういう催しってないんですよね」という話をした。

そして、「明日取りに来るから」と、スタジオに置いていったリン古さんのレコードの中で、もう一回きいてみたい物をこれから一人でかけてみるつもりだ。10人以上の人が集まるというのはなかなかのことで、飲んだり食べたりもすれば、今日の午前中は床の掃除だけでもけっこう大変だから、この程度の役得があってもバチは当たらないと思う。

ゲストをお迎えした際、僕はいつもレコードをかける役になる。自分の場所と装置とは言えそれなりに緊張しているのだろう、今日は少し安堵しているらしく、同じ曲をきいても印象が異なる。

だが、午後二時過ぎリン古氏が現れ(僕はその時彼のLPの中からクセナキス作曲のチェロをかけていた)、残念ながら僕の役得は数枚のLPをきき直しただけだった。しょうがないので、年末でもあることだしベートーヴェンの第九をかけることしにした。  2005.12.19

今年の記憶に残る出来事 その3
SACDマルチは素晴らしい世界が出現する。マルチに取り組んで一年半を越えたので、僕のマルチもかなりのところまできた。僕は、昔、結局消えてなくなったアナログの4ch再生を開発した人たちにSACDマルチをきかせてあげたいと思う。多分、ほぼ理想的なものになっているはずだ。ライブ会場の臨場感、ビヨークやBeckの芸術的立体音響、これらが正しく理解されずに消えてなくなるとしたらとても残念だ。SACDの空気感を含んだ高音質はマルチにこそ最適で、ぶ厚く広い音場は夢のよう、2chのサウンドステージや定位感を追求するのがバカバカしいとさえ思ってしまう。

LINNのアイソバリックというスピーカーはRogersやHarbeth、LS3/5A的サウンドステージが展開されそうなカタチだが、実際にはそのようなことはなく、太く凝縮された世界だ。わかりやすく極端に書くと、長い間僕は「多少薄くてもいいから、よく広がる世界」を欲していたので、何年か前の僕ならアイソバリックはアウトだった。ところが、最近の僕は「濃くて太くてさほど広がらない」にも心地よさを感じるようになった。それにはいくつか理由があって、2chでのサウンドステージに限界を感じたことも大きな理由の一つだと思う。広がり感、高さ、僕の所だったら8mの奥行き感、広い音場を求めるならマルチの方が断然良いのだ。SACDプレーヤーあるいはユニバーサルプレーヤーとプリメインアンプ一台、そしてリア用の小型スピーカーがあればとりあえず体験は可能だから、興味のある方は是非SACDマルチに取り組んでみていただきたい。

そして、マルチのことではいくつか試したい課題があるのだが、接続が面倒なので先送りになっている。それをやるには多分かかりっきりでも半日を要するので、仕事ででもなけりゃ後回しになってしまう。しかし、5.1chなんていう非現実的と言うか、すでに2chで一生懸命やっている人が、そのまま移行できない規格にしてくれたおかげで苦労するもんだ。   2005.12.20

この一ヶ月間は本当にオーディオのことを沢山やった、昨日もあれこれ試して、いろいろと悩んだ結果、僕は全て元にもどしてマランツ7とSDサウンドアイワンでRogersを鳴らした(ただし、プリ-パワーはストレートワイヤーのクレッシェンド!!で接続した)。サブウーハーもつなぎ、ZYXのフォノイコが戻ってきていたので、ZYXのフォノイコからマランツのTAPE入力に入れてLPをきいた。やはりこれは自分の家という感じの暖か味のある音で、必要以上の緊張や無理を強いられることがない。それで、ジョルジュ・ムスタキのLP(「私の孤独」とか、「異国の人」が入っている)をかけてみて、「これは当分いじらず、このままの組み合わせにしよう」と思った。 2005.12.21

注文してあったRogers Studio1a用のスタンドが出来上がってきた

高さは36cmで、アイソバリックとほぼ同じ高さになる

金属製でしっかりしたつくりなので、当然だが音は良い方向に変化する。やはり土台が決まってこその音づくりだから、Studio1aもこれからだ

床が凸凹しているのでグラグラするし、動かして床にキズがつくのを避けるために、スタンドと床の間にフェルトを貼ったら、音が随分変わってしまった。でも、良い面もあるのでとりあえずそのままにしているが、フェルトなしの方が良いとなれば剥がす予定だ

    2005.12.22

今年の記憶に残る出来事 その4
そして、カエターノだ。握手した手はとても柔らかくあたたかい感触で、それは今も、そして僕が生きている限り思い出すことができる。要するにジョン・レノンのファンがジョンと握手したのと同等かな。(まあ、今年の僕は、ジョンと言えばジョン・キャメロン・ミッチェルなんだが)

今年の記憶に残る出来事 その5
モアさんにきかせてもらったJAZZのオリジナル盤。僕の装置はJAZZの再生に特化しているわけではないから、あの7月16日の戯れる会も、前半は色々なジャンルの音楽をかけていて、やってきたモアさんに不安を与えるほどクラシックがそれらしく鳴っていた。でも、心配は無用だった。KEF105で十分すぎるほど圧倒され、僕たちの身体に鮮烈な何かが残った。

しばらくしたらフェルトも少しつぶれて音が変化するだろうと思って、丸一日、スタンドにフェルトを貼った状態で音をきき、今日になって剥がしてみると、フェルトなしの方が断然良いのだった。Rogersの底にはゴムがついているから、両方だと音が丸くなりすぎるようだ。予想はしていたが、一応確かめてみないとわからないし、一曲二曲じゃ判断がつかないから、やはり、丸一日程度はきいてみた方がよい。

「重量感があるアイソバリックの音は、モノラル再生に向くのではないか」と考えていて、ガラードにつけてあるもう一本のアームにOrtofonのCG25Dをつけて、それをZYXのヘッドアンプ(フォノイコライザーじゃなくて右の茶色の小箱)に入れ、もう1台のマランツ7も稼働させることにした

アイソバリックは、マランツ7+借り物のクライマックスTWINで鳴らしているが、将来TWINをお返しした時には、QUADのパワーアンプにしたらどうかなんて考えている

でも、本当の気持を書くと、アイソバリックがプリメインアンプで鳴ればいいんだが、無理かな?

キヤノンはついに10色顔料インクプリンタか。10色とはすごいなあ、EPSON同様グレーとかライトグレーが追加されて、モノクロもきれいなんだろうなあきっと。来年の前半には出るそうだが、楽しみだ。EPSONの4000PXは友人にあげてしまったので、一応場所は確保してあるのだった。写真はデジタルでどんどん自由で手軽になる、これは良いことだ。    2005.12.24

今年の記憶に残る出来事 その6
ソニーのAVアンプDA7000ESを買って、映像を見るときの音全てとSACDマルチのリアはこのアンプ一台でまかなうことにした。そして大家さんにお願いして屋上にアンテナを立てさせてもらい、デジタルハイビジョンチューナーを購入したので、映像ソースの中心がDVDから放送になった。BSにしても地上波にしてもデジタルハイビジョンは実に美しく、ブルーレイディスクなどの次世代メディアが早く一般化されたらなと思っている。

今年の記憶に残る出来事 その7
ずっと以前から「もしいつか、KEFのエッジが破れたら修理はせず、他のスピーカーにする」と決めていた。そして、この秋ついにエッジが切れたので、8年間使い続けてきたKEF105とサヨナラした。
RogersのStudio1aは僕にとってLS3/5Aみたいな存在だ。最低保障でもあるし、最高のスタンダードでもある。いくつか、試してみたいスピーカーもあるが、いずれも高価なので今の僕には買えないし、Studio1aは僕の原点であり、終着点でもある。一番好きなスピーカーを一台あげろと言われれば僕は迷わずRogersStudio1aと答える。
そしてアイソバリックだ。「とりあえずスタジオで再生してみませんか」「そうですね、12月の戯れる会例会はLINNの古川さんがゲストだし、アイソバリックでお迎えするのも面白いかも」ということで試しに音を出してみた。アイソバリックって、うまく鳴らないということでは定評のあるスピーカーだから、
自分で使い続けるという意識はほとんどなく、ある程度良さを引き出して、誰か欲しい人に引き取ってもらえば良いと考えていた。
やってきたアイソバリックは、しばらく冬眠していたので、最初はアチコチのユニットから異音(ビビリ音)が出たものの、ある部分でとても魅力的な音がして、「なんて高級な音なんだろう」と思った。KEF105に対して、考えられるすべてのことをやってきていたので、親戚みたいなRogersはすんなりとあるレベルが確保されたが、アイソバリックだとそうもいかず、僕は久しぶりに未知の魅力と暮らすことになった。

最初はとにかくユニットを動かしてやることだけを考えて鳴らし続けた。壁からの距離を調整してゆくと、ものすごい低音が出始めて、マランツ7+SDサウンドアイワンで部屋が揺れるような重低音が出た。そして、沢山の種類のソフトをかけるにつれ、徐々にアイソバリックの得意手みたいなものを理解し始めた。

今年の5月にオーディオベーシック誌の取材で、Naimのフルセットを使っているお宅を訪問していたので、その時きいた音やNaim&LINN的価値基準は理解していた。それは僕がこの10年ほど追い求めていたものとは対極に位置するもので、アメリカ的なオーディオで言えば、WE、アルテック、あるいはマッキントッシュのスピーカーなどの世界に近いものだった。AVALONやウイルソンに代表されるアメリカハイエンド的スピーカーのルーツはLS3/5Aだと思うが、同じ英国的オーディオでも、Naimや、ある時期までの(あるいはある種類の)LINNは、音の出方がWEやアルテックのヨーロッパ版だと考えてもらうとわかりやすい。だから、Rogersと両方持つ意味があるというわけだ。

うまく鳴らないことでは折り紙つきのアイソバリックを僕が上手に鳴らしているかどうか、それはわからない。自分ではそこそこ成功していると考えているのだが、まあそういうこともあって、12/30は一般参加もOKということにした。 2005.12.27

三日もアイソバリックできき続けてからRogersに戻すと、「ああ、なんていいんだろう」と思う。でも、しばらくしてまたアイソバリックにすると「これはこれでいいなあ」と思う。去年LEAKのアンプできいていたのもこんな感じだった。とにかく100点満点のオーディオ再生は存在しないのだ。情報量も空間感も、多ければ良いという場合もあるし、そんなもんどうでも良いとも言える。

KEFでものすごく良く鳴ってくれたソフトがあって、「おおすごい、ごくあくにんだろうが、けん・けすらーだろうが、すがのおきひこだろうが、誰でも来い」と、まあ自己満足にひたることが出来たソフトをRogersでかけてみると、これが今ひとつパッとしなかったりする。そういうやつはアイソバリックだとパッとしないどころか「想定外的はずしかた」で知らん顔をしてくれたりする。その代わり、思わぬソフトが良かったりもして、まあしょうがないんだよな。  2005.12.28

もちろんマランツ7+SDサウンド+Rogersで良く鳴るソフトは沢山あって、12/30は一時間程度、それらをきいてもらうことにしよう。LPはZYXのカートリッジ+オーディオクラフトのアーム+TD124、ベンツマイクロL0.4+ダイナベクターのアームDV-507+ガラード401、フォノイコライザーはZYXを使うつもり。

 2005年に一番多くかけたCDは「ショスタコーヴィチ24のプレリュードとフーガ(キース・ジャレット)」と「ヘドウィグ・アンド・アングリー・インチ」だと思う。ショスタコーヴィチと言えば、今日取材でポートレートを撮影した指揮者の井上道義氏は2007年にショスタコーヴィチの交響曲を全て演奏する予定だと話していた。日比谷公会堂で演奏をするらしい、僕はなるほどと納得した。

結局この二枚組のCDは一年間、一度もCDラックにしまうことがなく。ずっとCDプレーヤーの前に置かれていた。バッハが好きな人も、現代曲が好きな人にも、もちろんキース・ジャレットのソロピアノがお好きな人にもおすすめです。

僕は「ケルン・コンサート」を発売直後に買って毎朝毎晩、三ヶ月間ほどケルン・コンサートのみきいていたのだが、アイソバリックでケルン・コンサートをきくとこれが妙に良い。高音質なソフトは思い切り外してくれたりするくせに、さほど録音が良いとも思えないソフトがやけに良くきこえることがある。もちろん、アイソバリック+高音質ソフトがすべてダメというわけでもないから、やはりよくわからず、意外なことは大変楽しい。

12/30のお品書き

前半は参加者持参のソフトをかけて、それから僕の選んだソフトを一時間ほどきいてもらうつもりだ。 

後半は AB誌 MyAudioLife で紹介された伊藤氏による
1.SDサウンドの i−1 メインアンプに、電解コンデンサーを追加する実験。
2.ZYXのフォノイコライザーアンプのACアダプターに換えてトランス式強化電源のテスト。
果たして電源の強化が、音に現れるのか、やってみないと分かりませんが、私もとても楽しみです。

はい、僕もたのしみであります。こういうのは密室的にやるんじゃなくて、出来る限りオープン参加、出来れば10人ぐらいできいてみなくちゃね。オリジナル盤にしてもコンデンサーにしても、あーだこーだ想像で語っていても始まらないでしょう。

今日の戯れる会も、相変わらず密度が濃くて、疲れた。コンデンサー追加の電源強化は確かに音に影響がある。ただ、ソフトによってその効果は変化するみたいだし、まだ安定していない感じもするので、しばらく使ってみることにした。みんなが帰ってからLPをきくと、やけに濃い音がする。何なんだろう?

フォノイコライザー用の電源は、さほど大きくないので、参考のためZYXに送って音をきいてもらった後、ZYXのフォノイコライザー購入者に巡回する予定だ。 2005.12.30

SDサウンドアイワンへのコンデンサー追加実験も、ZYXフォノイコライザーへのACアダプタ→トランス仕様強化電源の試聴などのほとんどはブラインドで行ったので、思いこみによるものは極めて少なく、そして意見は割れた。

「大容量コンデンサー追加による電源強化の二日目の音は、ちょっとヘンになりますから、二日目の音は無視して下さい」とコンデンサーエバンジェリストの伊藤氏は言う。そして、僕はその二日目の音をきいているのだが、特にヘンだとは思わない。昨日の実験は、いつぞやのCDとSACDブラインドテストの結果によく似ていた。エッジが立ってクッキリハッキリきこえる方(と言っても微妙な差ですが)を良しとして、僕は「こっちが良い」と言ったらそれはコンデンサーなしの音だった。歪みが少なくなるので、輪郭の強調が減る、これはダイナベクターの高級カートリッジと同じきこえかただ。コンデンサーを追加すると、音量が下がってきこえる=物足りない→だから音量を上げてもOKなのは確かで、そんなことになるとまた、本人には心地よいがご近所様には迷惑の一途をたどるらしい。

どっちみちオーディオって、湿度や気分や電気の状態や、そんなことでも左右される曖昧さを沢山含んだものだから、絶対はないわけだし、心地よささえ確保できればOKと考えて、2005年大晦日の今日も、昨日の片づけをしながら好きな音楽をきいて過ごしている。Rogersは良く鳴りすぎることが不満というぐらい満足で、贅沢を言わせてもらえれば、もうちょっと苦労するスピーカーだとオーディオマニア的には楽しめるのかも知れない。

そんなわけで、2005年はいろいろあったけど、今年の最後は最近入手したばらの騎士のLP。カラヤン指揮、シュワルツコップが元帥夫人ですが、カラヤンのR・シュトラウスは素晴らしくて、生できけた人がうらやましいと思ってしまった。まあしょうがないよ、シュワルツコップが元帥夫人のばらの騎士を生できけて、ジョアンやカエターノのコンサートにも行けるなんて、黒田恭一さんでもきわどいところだ。

オークションに割と安く出ていたのでつい買ってしまったのだが、久々に見るこのジャケット、相変わらずすごい世界で、僕は右側のオクタヴィアンを見て「SMAPの中井君か」と思ってしまいました。 2005.12.31

パート11はこちら

先日の戯れる会ゲスト渡辺亨氏がかけてくれたソフトの中で、誰にでももっとも強くおすすめできるのはこれ、マリア・ヒタ。左が第一作で、当日きいたのは右の二枚、CD部分は同じだけど一番右はDVDつきの二枚組。今時珍しい「せーので一発録り」によるテンションの高さを楽しんで下さい。と言うか、せーので一発録りがまた、2005年的なのだとも言えるのではないだろうか。

 


これから新しくMacを買うのなら、おすすめは新しく出たiMacG5だ。スピードも十分だし、ビデオカメラ内蔵なのでiChatAV(インターネットTV電話)も可能だし、とてもシンプルなリモコンも付属している。Macはテレビを見ることが出来ないのだが、音声のPodcast同様、インターネットを通じて配信されたものを(有料だとしても)見た方がCMも入らないし、心地よいのかも知れない。スティーブ・ジョブスのプレゼンテーション 1時間以上もちろん英語だからジョークの部分とかはよくわからないのだけど、時間があったら見て下さい。すごいですね。プレゼンテーションの見本というか、パワーポイントだけじゃダメなのであります。製品に対する思想、自信、先見性、社長が自社の製品を理解して毎日自分で使っている、こんな当たり前のことが行われているだけだと思うのだが、見習うべき点が多くあると思う。iMacG5もそろそろ出荷が始まるようで、家で使うなら現時点ではこれが一番、オーディオの出入力端子も付いているから、古いテープとかLPの音声を取り込んでiPodできくなんてことも可能だ。Bluetoothのキーボードはワイヤレスでとても良い。これにSoundSticksがあればラジカセは不要だし、けっこう迫力の音でDVD鑑賞が出来る。自分で撮ったビデオの編集もOK、もちろんデジカメで撮った写真の管理もやりやすい。そして何より、OS Xはフリーズしないし、ウイルスメールもほとんど関係ない。

僕が大好きなソプラノ、グンドゥラ・ヤノヴィッツのCDはそれほど沢山は存在しない。とりあえず絶対におすすめはこれ、カラヤン指揮のR・シュトラウス「四つの最後の歌」で、ダントツというか、他に比較しようがない世界だと思う。ピアノと違って、声楽でこの世界を表現するのはとても難しいと思う。そりゃあ、生演奏でこれをきけたら最高だろうけど、仮にきけたとしても何百回も楽しめるわけじゃないし、生演奏を体験したものの、受け手側の理解不足で猫に小判という事もあり得る。その点、レコードやCD、そしてオーディオってのは有り難いものだと思う。

 

みなさん誤解しているかも知れませんが

StudioK'sは写真撮影のスタジオです

 写真撮影の仕事に対する意欲は満々です

架空セカンドオーディオ

僕のオーディオ装置 スケベ根性ありありの中庸 パート1  1997年〜2000年まで

僕のオーディオ あんまり膨大なのでパート2 2001年

さらに膨大 パート3 2002年

僕のオーディオ生活 パート4 2003年

僕のオーディオ生活 パート5  2003年

僕のオーディオ生活パート6  2004年1月〜6月

オーディオと映像を中心にした日々の記録 パート7  2004年7月〜12月

オーディオと映像の記録パート8  2005年1月〜4月

オーディオと映像の記録パート9  2005年5月〜9月


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